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p.46 抽出テキスト

型大動脈縮窄のほうが単純型よりも上行大動脈の拡大速度が速いと報告されている475, 476).大動脈弓が急峻な場合には圧脈波反射により大動脈壁ずり応力や弾性異常が亢進し,上行大動脈が拡大するとの報告がある477).大動脈二尖弁を合併しない大動脈縮窄のaortopathyに対する薬物治療はエビデンスに乏しい.

5.2.3 円錐動脈幹異常

円錐動脈幹異常を呈する病態としてFallot四徴,心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖,両大血管右室起始,完全大血管転位などが挙げられる.上行大動脈の組織学的異常はMarfan症候群に似ているが程度は軽く,一般的に大動脈解離のリスクは低く,10.5/100000人・年である(vs健常人10/100000人・年) 478).

Fallot四徴は,修復術前の容量負荷(右室流出路狭窄に伴う右左短絡など)と組織学的な異常がaortopathyに関与しているとされている471).大動脈拡大は成人修復例の7~ 15%に認め,大動脈解離は上行大動脈径>70 mmの症例が多いが,53 mmでの解離の報告が1例ある479).

完全大血管転位に対する動脈スイッチ手術後の成人例において50~65%に上行大動脈拡大を認め,3~15%に中等度以上の大動脈弁逆流を認める480).1980年代以降,動脈スイッチ手術が行われており,まだ中年層以上の患者が存在しないため,aortopathyの術後遠隔期合併症に関しては不明である.

5.2.4 その他の先天性心疾患

Ross手術後の上行大動脈拡大の発生率は高く,術後12年で約20%に大動脈拡大を認め,少なくとも4例の解離の報告がある38).左心低形成症候群(HLHS)に対するNorwood手術後の大動脈の弾性低下と上行大動脈・大動脈弓の拡大が報告されており,術後症例の約61%に大動脈弁(生来の肺動脈弁)逆流を認め,数例の解離の報告がある481).Fontan手術後の大動脈解離はごくまれであり,現時点では1件の解離による死亡報告がある482).

続いた場合には,大動脈がより拡大しやすい血行動態であると考えられる.大動脈基部や上行大動脈が拡大することにより,二次性の大動脈弁閉鎖不全が生じる.さらに拡大した大血管のstiffnessは後負荷の原因となりうるため,いわゆるventricular-aortic decouplingを生じうる.

5.2.1 大動脈二尖弁

成人大動脈二尖弁症例の約50~87%に上行大動脈の拡大を認め,年0.3~2.0 mmの拡大が認められる一方で,約40%の症例は数年間変わらないと報告されている470, 472).また大動脈解離の発生率は3.1/10000人・年で健常人の8.4倍とされている470, 472).組織学的異常はMarfan症候群と似ており,中膜壊死,MMPの上昇,フィブリリン1の減少などを認める.この組織学的な異常は特に偏向性ジェットがあたる壁ずり応力上昇部位に著明に認められることから473),組織学的異常+血行動態的異常が大動脈二尖弁のaortopathyの原因と考えられている.弁の癒合位置によりジェットの向きと渦流やらせん流の形成が異なることがわかっており465, 473),右・左冠尖癒合の二尖弁では上行大動脈,右・無冠尖癒合の二尖弁では大動脈弓まで拡大を認める465, 473).

aortopathyの治療に関しては多くの施設がβ 遮断薬を使用しており,ARBが有用な可能性はあるが,エビデンスに乏しい.手術適応に関しては各ガイドラインで若干の相違があり,危険因子がなければ,大動脈径55 mm以上または年5 mm以上の拡大,リスクがある場合(拡大速度が速い,高血圧,家族歴,妊娠希望など)には50 mm以上,大動脈弁置換を施行する際には上行大動脈径45 mm以上で,上行大動脈置換を考慮するとしているガイドラインが多い1, 469, 474).

5.2.2 大動脈縮窄

大動脈縮窄症例の約60%に大動脈二尖弁を認め,組織学的異常は大動脈二尖弁に準じる.そのため,乳児期の早期の修復術後もaortopathyを認める.修復術後は大動脈瘤を約14%,大動脈解離または破裂を2.5%に認め,複雑