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性があり,Fontan術後症例での予後予測に有効であったと報告されている459). ACHDの腎機能低下に対する特異的な治療法は確立されていない.食事指導に加えて,減塩や適切な血糖値コントロール,禁煙,肥満を避ける,脱水を避ける,などの生活習慣の改善を行う.また,すでに腎機能の低下している症例ではACE阻害薬やARB,非ステロイド性抗炎症薬,利尿薬や一部の抗不整脈薬など,腎機能に影響を与える内服薬の適応を十分に考えて,必要であれば見直しも行う238, 456).さらに,造影剤の使用は適応を十分に考え,最小限にとどめる.必要に応じて腎臓内科専門医とも緊密に連携して診療にあたる. 4.2 先天性心疾患の特殊性 CHDにおける生活習慣病の診断基準は明らかではない.本項目でも成人における既報の診断基準値を採用している.ただ,CHDでは前述のように生活習慣病やCKDが特殊な病態に起因することもあり,今後はCHDの予後を勘案した,よりCHDに適した診断基準の確立が望まれる.同様に治療の目標値についても,CHDの病態や予後を踏まえて設定することが期待される. 5 aortopathy 5.1 病態と管理 5.1.1 成因 肥満や糖脂質代謝異常などの生活習慣病に伴う内皮機能障害や動脈硬化は,大動脈の拡大,硬度(stiffness)の上昇を惹起し,大動脈瘤・大動脈解離合併のリスクを生じ,このstiffnessの上昇が心室負荷,冠循環障害,高血圧の原因となる460).また,大動脈のstiffnessと運動耐容能との関連も指摘されている461).生活習慣病による二次的な心血管病の予防は若年CHD患者でも重要と考えられる. 健常成人における正常上行大動脈の拡大率は0.07~0.02 mm/年程度であり462),加齢性変性・動脈硬化により大動脈壁の組織学的変性を示す.病理学的には弾性線維の構築の乱れ(断裂,消失),細胞外基質の増生・劣化,マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)の過活性による血管平滑筋細胞のアポトーシスなどの変化を特徴とする嚢胞状中膜壊死(cystic medial necrosis)を呈する463).若年者 であってもCHD術後遠隔期においては,ときに大動脈が拡張して瘤化・解離を生じたり,上行大動脈基部拡大による二次性の大動脈弁閉鎖不全を合併したりすることがある.この大動脈拡大を呈しやすい病態をaortopathyと呼び,病理学的には上記と同様の変化を認める. 遺伝性aortopathyの病態で代表的な疾患はMarfan症候群やMarfan類縁疾患である.分子レベルでは微小線維(microfibril)の主要構成成分であるフィブリリン1の異常があり,フィブリリン1遺伝子のさまざまな変異が知られている464).またフィブリリン1 が形質転換増殖因子β (TGF-β)をtransformするシグナルを過剰に出すことが,それら病態の原因として報告されている464).CHD関連aortopathyの代表的な疾患としては,大動脈弁二尖弁,大動脈縮窄,Fallot四徴をはじめとする円錐動脈幹異常疾患群,チアノーゼ性CHDの一部,Fontan手術後,左心低形成などがあげられ(表21) 1),病理学的には上記の嚢胞状 中膜壊死を呈する.二尖弁では大動脈平滑筋細胞アポトーシス,MMP活性上昇,弾性線維断裂,フィブリリン1低下,TGF-β過剰発現なども報告されているが465),一般的にCHDは明らかな単一遺伝子疾患ではないと考えられている. 大動脈拡張に至る因子として遺伝的要素に加え,容量負荷などの血行動態,炎症性変化,術後変化などが複雑に交絡するのがaortopathyの経過である.大動脈への容量負荷や圧負荷,さらには二尖弁による血流異常がもたらすずり応力の変化など,血行動態的因子の関与の重要性が指摘されている463, 465).さらに血行動態的因子は機械的刺激伝達として,大動脈壁の変性をもたらす種々の経路を活性化して,直接的に大動脈壁変性に関与している可能性も指摘されている466, 467).種々の大動脈容量・圧負荷は血管壁を繰り返し過伸展させ,平滑筋細胞・線維と接着分子の相 表21 大動脈拡張を伴うことの多い先天性心疾患(Marfan 症候群を除く) 大動脈二尖弁(Ross手術後も含む)大動脈縮窄総動脈幹肺動脈狭窄・閉鎖に心室中隔欠損を伴うチアノーゼ性先天性心疾患Fallot四徴両大血管右室起始完全大血管転位単心室Fontan手術後左心低形成症候群(日本循環器学会. 2017 1)より)