p.43 抽出テキスト
度) 440)は23~32% 406, 408, 441),BMIが30 kg/m 2以上すなわち2度以上の高度肥満は8.8~21%と報告されている406–408, 441, 442).非ACHDと比較して肥満の合併率は高い406),または同等407)とする報告もある一方で,中等度以上の複雑ACHD症例では高度の肥満例は少なく,むしろ低体重(やせ)と報告されており,病態により肥満の合併率は異なる可能性がある441–443).ただ,これらのデータは欧米からの報告であり,本邦でも同様かどうかはさらなる検討が必要である. ACHDでの肥満の原因は多岐にわたる.心疾患ゆえに医療関係者が活動を制限していたり,患者自身が制限していたりするので,肥満に陥りやすいという背景がある444).さらに,小児期の手術までは体重増加が乏しく,手術後に追いつくように高栄養価の食事が与えられる,といった独特の食生活の変化もあり431, 445),肥満を増悪させている可能性がある. b. 肥満の管理 体重,身長,BMIを毎年計測し,肥満の評価を行うことは重要である(推奨クラスI) 412).肥満症例に対しては,食事療法や運動療法,禁煙を含めた生活習慣の改善を指導する. 肥満のACHDへの影響についてはデータが限られるが,幼少期からの急激な体重増加は冠動脈疾患の危険因子であり446),CHDでも体重増加には注意を傾ける必要がある.その反面,有症状CHDや複雑CHDでは,BMIが25 kg/ m 2以上の症例は低体重の症例よりも死亡率が低く,さらに経過中に体重が減少すると予後不良であることも報告されている441).すなわち肥満パラドックスがACHDにも当てはまる可能性が示唆されている. c. 栄養管理 栄養状態の悪化はCHDの予後悪化と関係している.栄養不良はしばしば低アルブミン血症で代表して評価されているが,アルブミンは心不全症例でも予後不良の指標で447),CHDでも同様であり448, 449),アルブミンによる栄養状態の評価と管理は重要となる可能性がある. 4.1.5 慢性腎臓病 a. 先天性心疾患での特徴 ACHD患者における腎障害の合併率は決して低くない. ACHDの約半数でeGFR(推算糸球体濾過量)は90 mL/ min/1.73m 2未満と正常範囲を下回る450).チアノーゼ性心疾患ではさらに悪く,65%の症例で90 mL/min/1.73 m 2未満,16%の症例で60 mL/min/1.73m 2未満と,より多くの症例で腎機能の低下を認めた.Fontan術後症例でも同様に腎機能低下は高率に認められ,13歳ですでに10%,26歳では50%以上に上ると報告されている451).一般住民と 比較しても腎機能の低下は著しく,eGFR<60 mL/ min/1.73m 2の症例は非チアノーゼ性心疾患では18倍,チアノーゼ性心疾患では35倍であった450).また,チアノーゼ性心疾患やFontan術後を含めて,ACHDでは尿蛋白やアルブミン尿を認める症例も多い411, 452). ACHDでの腎機能低下の原因は多岐にわたる.チアノーゼ411),ときに複数回に及ぶ人工心肺の使用453, 454),利尿薬や造影剤などの腎機能を悪化させる薬物の使用450),中心静脈圧の上昇455),低心拍出状態450)など多彩であり,それぞれの要因に注意を払う必要がある.さらに,ACHDでは先天性の腎臓の異常も腎機能低下の原因として重要である.VACTERL連合やCHARGE症候群,Williams症候群などでは腎臓や腎動脈に先天性の異常があるので,腎障害の原因として注意する. 腎障害はACHDの予後に大きな影響を与える.軽度の腎機能低下(eGFR: 60~89 mL/min/1.73m 2)であっても腎機能正常群と比べて6年間の死亡率は2倍に,中等度以上の障害(eGFR<60 mL/min/1.73m 2)であれば死亡率は実に5倍に上る450). b. 管理 ACHDでの慢性腎臓病(CKD)の診断については,本邦でのCKDガイドライン456)に従い,糸球体濾過量(GFR)は90 mL/min/1.73m 2をカットオフ値とする.前述のごとくACHDでは腎障害の合併率が決して低くなく,積極的にスクリーニング検査を行うべきであり,とくにEisenmenger症候群を含むチアノーゼ性心疾患では高リスクであるので,定期的に検査を行う(推奨クラスI).なお, GFRはイヌリンクリアランスから求めるのがゴールドスタンダードではあるが,日常臨床では血清クレアチニン値を基に推定式でeGFRとして算出される.しかし,ACHDでは血清クレアチニン値と異なり,年齢や性別,人種,筋肉量の影響を受けない血清シスタチンC値を用いてのeGFRの使用も考慮する457).Fontan術後症例では筋肉量が少ないこともあり,血清シスタチンC値から求めたeGFRが予後予測に有用であったと報告されている451, 458).しかし,血清シスタチンC値は肝機能の影響も受け,肝障害の可能性のあるFontan術後症例では検証も必要である. CKDの診断と重症度分類で国際的にはアルブミン尿が用いられるが,本邦の保険診療ではアルブミン定量(尿)は糖尿病性腎症第1期または第2期のものに限られているため,尿蛋白定量と尿中クレアチニン値(Cr)測定から求めた尿蛋白/Cr比(g/gCr)で蛋白尿を評価する456). 腎動脈の超音波検査から求められるrenal restrictive indexは臓器障害の非侵襲的な指標として有用である可能