p.40 抽出テキスト
4 生活習慣病 4.1 病態と管理 表20 成人先天性心疾患患者の生活習慣病と慢性腎臓病の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 適切な食事指導,運動療法,禁煙などの生活習慣の改善を含めた包括的アプローチを行う. I A 1 年に1 回は診察室での血圧測定,または家庭での血圧測定を行う. I C 45 歳以上の症例,または45 歳未満でもBMI が25 kg/m2 以上で糖尿病のリスクがある症例では,3 年に1 回は糖尿病のスクリーニング検査を行う. I C糖尿病のスクリーニング検査では,空腹時血糖や随時血糖,HbA1c だけでなく,必要があれば75 g 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)も行う. I A 5 年に1 回は空腹時採血にて脂質異常症のスクリーニング検査を行う. I C脂質異常症のスクリーニング検査では, LDL コレステロール,HDL コレステロール,トリグリセライド,non-HDL コレステロールを測定する. I A 1 年に1 回は身長,体重を測定し,BMIを評価する. I C積極的に慢性腎臓病のスクリーニング検査を行い,とくにEisenmenger 症候群を含むチアノーゼ性心疾患では高リスクなので定期的に検査を行う. I C CHD患者の多くが成人期に到達するようになり,高血圧,糖尿病,脂質異常症,冠動脈疾患などに代表される生活習慣病を合併するCHD患者の数は増加傾向にある.一般的に生活習慣病は小児や若年成人でも動脈硬化の進展と関連しており403, 404),高齢のCHD患者においても冠動脈疾患は重要な予後規定因子である405).したがって,CHDであっても生活習慣病は十分に管理されるべきである.しかしその一方で,CHDでの生活習慣病予防の効果は明らかになっていない. ショックコイルを皮下・胸膜・心外膜側に,腹部に電池を植え込む方法が選択されてきた.皮下に除細動器本体(左腋窩)と除細動用リード(前胸壁)を植え込む皮下植込み型ICD(S-ICD)は開胸が不要だが,徐脈に対するペーシングと抗頻拍ペーシングができない402). ICDの治療目的としては,VT・VFの既往があり救命された患者に対する再発予防(二次予防),既往はないが低心機能,非持続性心室頻拍,原因不明の失神発作などのリスクがある患者に対する一次予防がある.高リスク患者を同定するための根拠を導き出すためには,植込み群と非植込み群をランダム化した前向き研究が必要であり,心筋梗塞後患者や非虚血性心筋症患者などの研究により明らかにされてきた.ところがCHDは症例数が寡少であり,このような科学的根拠を明らかにすることは困難である.一次予防の適応は虚血心などの先行研究を参考にして決定せざるをえない. 3.4.3 外科手術 外科的治療には不整脈の原因に対する直達治療と,背景のCHDに対する修復術による二次的効果を目的とした治療とがある. 一般成人の器質的心疾患に伴うAFに対する外科治療(両心房メイズ手術,左房メイズ手術,外科的肺静脈隔離術)は,その効果や安全性についてすでに検討されている.それらの結果を根拠にして,僧帽弁手術などの他疾患に対する心手術と同時に行う外科的心房細動治療の適応は,推奨クラスI という位置づけである153).CHDに伴う不整脈に対する直達治療としての外科的介入には,AFに対する左房介入のほかに,右房メイズ手術や副伝導路切断術, VTに対する不整脈基質への介入などがある132).術中に介入すべき不整脈基質の部位や術式については慎重に決定されるべきであり,可能なかぎり術前に電気生理学的検査を行うことが推奨される.