p.39 抽出テキスト
Fallot 四徴症術後の突然死の危険因子 (左室収縮または拡張障害,NSVT,QRS幅180 ms 以上,広範な右室の線維化,電気生理検査での心室性不整脈の誘発)が3 つ以上ある場合IIa B B IVb先天性心疾患患者で,体心室駆出率35%以下の心室機能低下,NSVT を認め, NYHA 心機能分類II またはIII の心不全症状がある場合IIa C C1 IVb VF の既往があるが,冠動脈が修復された冠動脈起始異常IIb C C1 V 12ヵ月以上の余命が期待できない場合III C C2 VI精神障害などで治療に際して患者の同意や協力が得られない場合III C C2 VI急性の原因(急性虚血,電解質異常,薬剤など)が明らかなVT,VF で,その原因の除去によりVT,VF が予防できると判断される場合III C C2 VI抗不整脈薬やカテーテルアブレーションでコントロールできない,頻回に繰り返すVT あるいはVF III C C2 VI心移植,CRT,左室補助装置の適応とならないNYHA心機能分類IV の薬物治療抵抗性重症うっ血性心不全III C C2 VI心内短絡がある場合の心内膜リードの植込み(ただし,血行動態,抗凝固療法の導入,シャント閉鎖の有無,心内膜リードの代わりとなるリードアクセスを個々に検討し,決定すること) III B D IVb VF:心室細動,VT:心室頻拍,NSVT:非持続性心室頻拍,CRT:心臓再同期療法(日本循環器学会ほか. 2018 153)より) ICDは致死的心室不整脈(VT,VF)が発生した場合に,自動的に抗頻拍ペーシング,カルディオバージョン,除細動を行う機器である.初期のICDは心外膜側に除細動用の電極パッチを装着する侵襲的な開胸手術が必要であったが401),現在のICDはペースメーカ手術と同様に経静脈リードを心内に留置する様式で,低侵襲である.アクセスルートや心内短絡などの経静脈リードの制約があるCHD患者に対しては,センシングリードとして心外膜リードを用い, CHDにおいては発生学的に洞機能不全や房室伝導障害を発症する病態,心修復術などにより後天的に発症する病態がある.先天性洞機能不全は多脾症,左並列心耳などで発症し,後天性洞機能不全は心房内血流転換術(Mustard手術,Senning手術),Fontan手術,Glenn手術などの術後にみられる.先天性房室伝導障害は修正大血管転位,房室中隔欠損などで発症し,後天性房室伝導障害は心室中隔欠損閉鎖術,左室流出路手術などの術後にみられる. ペースメーカ植込みの適応は,徐脈に伴う自覚症状がある場合,徐脈または房室解離による心機能低下,心室不整脈,幅広いQRS波による補充調律,術後回復が見込めない高度房室ブロック,日中平均心拍数50/s以下の房室伝導障害,日中平均心拍数40/s以下の洞機能不全,3秒以上の心休止,治療抵抗性の上室不整脈に対する心拍数維持および心房抗頻拍ペーシングなどである186, 399). CHDに対するペースメーカ植込み手術にはいくつかの制約があり,心臓への静脈アクセスの有無,心内短絡の有無などの条件によっては,経静脈ペースメーカではなく経胸壁心外膜リードによる植込みを考慮する.最近では大腿静脈から挿入したカテーテルにより心内に植え込む小型のリードレスペースメーカが開発され400),腕頭からの静脈アクセスがない場合,心室流出路より近位に短絡がある場合には選択肢の一つとなりうる.ただし,遠隔期における経皮的抜去については未解決であり,若年者への使用には慎重な判断が必要である. b. 植込み型除細動器表19 先天性心疾患患者に対する植込み型除細動器の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベルMinds 推奨グレードMinds エビデンス 分類 VF または血行動態不安定なVT による心停止からの蘇生患者で,心肺停止が不可逆的原因による場合I B A IVa先天性心疾患患者で症状をともなう持続性VT がある場合(カテーテルアブレーションや外科手術も治療選択として考慮する) I B A IVa原因不明の失神を繰り返す先天性心疾患患者で,体心室駆出率35%以下の心室機能低下を認めるか,電気生理検査で心室性不整脈が誘発される場合IIa B B IVa