p.37 抽出テキスト
る377). 先天性異常を伴う房室結節に付随した房室結節リエントリー性頻拍の詳細については,よくわかっていない378, 379).アブレーション治療ではリエントリー回路を形成する速伝導路(fast pathway)と遅伝導路(slow pathway)のうち後者を焼灼するが,正常心の場合には遅伝導路の部位のバリエーションが少ないので,速伝導路を温存しながらの焼灼が容易である.しかし,先天性異常を伴う房室結節の解剖はバリエーションが多く,遅伝導路の部位を正確に同定することは困難である.したがって,凍結凝固法により凍結と復温を繰り返しながら凍結凝固壊死を起こすべき部位を検索する方法(cryothermal mapping)が臨床応用されている380). b. 心房頻拍 心修復後に高率に発生する不整脈が心房頻拍である.心房頻拍は心房に対する手術侵襲の大きさ(心房内血流転換術など),術後の心房への高負荷(Fontan手術など),術後の経過年数に応じて,発生率が高くなる.術後,心房内には解剖学的なリエントリー回路が形成され,この経路を旋回する比較的回路の大きなマクロリエントリーが多いが381–383),房室弁周囲のマクロリエントリー(心房粗動),瘢痕組織のマイクロリエントリーや異常自動能,撃発活動性頻拍も発生する. CHDに伴う心房頻拍に対しては,薬物治療単独では有効性が不十分で,また副作用の血圧低下や心機能低下は容認できないことが多いため,CAは重要な役割を担う.しかし,正常心に発生する心房頻拍,心房粗動と異なり,心房内に瘢痕組織や外科的な切開線,縫合線が多く存在するため,複数の心房頻拍が併発することが多い.また,解剖学的な形態やそれに伴う不整脈基質が複雑であるため,X線透視と心内電位記録だけでは不整脈機序を把握することが困難である. これを補完するための検査法として,心臓の立体画像と は,カテーテルアブレーション(CA),植込み型心臓電気デバイス(CIED),外科的手術治療に大別される. 3.4.1 カテーテルアブレーション CAはカテーテルを通して不整脈の原因となる組織を破壊する治療法である.その方法は直流通電法362, 363)から発展した高周波アブレーション364)以外に,凍結凝固365),レーザー366),薬物(化学的アブレーション) 367) があり,最近ではelectroporationという新しいエネルギー源も報告されている368).また,エネルギーの伝達は管状カテーテルだけではなく,肺静脈隔離術に特化したバルーンアブレーションも開発されている369–371). ACHDに伴う不整脈に対するCAは,正常とは異なる心血管形態に対してカテーテルを操作するため,コンピュータ処理された心臓立体画像を参照できるCARTO TMシステム(Biosense Webster 社製),EnSite NavX TM システム(Abbott 社製),RHYTHMIA TM(Boston Scientific 社製)などの不整脈マッピングシステムの使用が推奨される.またNiobe TMシステム(Stereotaxis社製)は,体外からの強い磁気によりカテーテルを遠隔操作するシステムで,心臓への血管アクセスが制限された状態においてもマニュアル操作では不可能なカテーテル操作が可能で,CHDに伴う複雑な解剖において有用である372). a. 房室回帰性頻拍,房室結節リエントリー性頻拍 房室回帰性頻拍は房室結節,WPW症候群におけるKent束などの房室間副伝導路を介して心房心室間を旋回するリエントリー性頻拍である.Ebstein病では右房右室間の副伝導路によるWPW症候群を呈することがあり,房室回帰性頻拍による頻拍発作が発生する373, 374).修正大血管転移などの房室不一致,内臓心房錯位(heterotaxy)症候群でも副伝導路の合併率が高いことが知られている375, 376).また,心修復術後に発生した心房組織と心室組織の電気的接合による術後WPW症候群が報告されてい 表18 心房細動患者の脳梗塞リスク評価のためのCHADS2 スコア 頭文字危険因子点数 C Congestive heart failure心不全1 H Hypertension高血圧(治療中も含む) 1 A Age年齢(75歳以上) 1 D Diabetes mellitus糖尿病1 S2 Stroke/TIA脳卒中/一過性脳虚血発作の既往2最大スコア:6 (日本循環器学会ほか. 2020 356)より)