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p.35 抽出テキスト

3.3.1 上室頻拍

表15 上室頻拍の薬物治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

血行動態の不安定な例には同期下カルディオバージョンを行う. I C房室結節リエントリー性頻拍,房室回帰性頻拍には,禁忌でないかぎりアデノシンン三リン酸(ATP)急速静注を行う. I C

再発予防にIII 群薬内服を考慮する. IIa Cリズムコントロールが無効の場合にはβ遮断薬によるレートコントロールを考慮する. IIa C心房細動,心房頻拍に抗凝固治療を考慮する. IIa C心機能低下例,中等度以上の複雑先天性心疾患例に対し,陰性変力作用の強いI群薬やCa 拮抗薬は使用するべきではない. III Harm C a. 急性期

房室結節リエントリー性頻拍や,副伝導路を介する房室回帰性頻拍では,頻拍回路に房室結節を含むため,心肺蘇生ができる環境で,房室結節を抑制するアデノシンン三リン酸(ATP)急速静注を行う.ATP禁忌またはATPで停止後すぐに再発する,心機能低下のない単純CHDの症例では,ベラミルまたはジルチアゼムを5分で静注する.

心房細動では,頻拍の持続時間が48時間以内の場合にはヘパリンの静注後に同期下カルディオバージョンが可能であるが,48時間以上の場合には経食道心エコー法で心房内血栓の有無を確認するか,十分な抗凝固治療を3週間以上施行した後にカルディオバージョンを行う356).

心房頻拍(心房粗動や心房内リエントリー性頻拍を含む)では,心機能低下のない単純CHDの場合は,Vaughan Williams分類I 群薬の静注ないし経口単回投与を行い,無効であればレートコントロール目的でβ 遮断薬やCa拮抗薬を使用する(表16).心機能低下例や中等度以上の複雑CHD例では,心房細動と同様に同期下カルディオバージョンを行う. b. 慢性期

CHD患者は心構造異常を伴っており,若年層が多いため,洞調律維持を第一の目的とする.薬物治療はVaughan Williams分類III群薬の長期投与に有効性と安全性の問題があるため,カテーテルアブレーション(CA)をまず検討する186, 357).CAが困難な場合や,無効な場合に薬物による

あげられている139, 353, 355).

3.2 先天性疾患の特殊性

3.2.1 不整脈発生の疾患特異性

CHDの不整脈で特徴的なのは,その発生率や不整脈リスクが解剖,術式,血行動態により異なることである.このCHDの解剖,術式,血行動態は多岐にわたるが,その複雑性の程度から単純CHD,中等度CHD,複雑CHDの3 つに分類されることが多い(第1章の表5 を参照) 3). CHD患者の臨床的重症度とその複雑性は関連するため,不整脈に対する治療(抗不整脈薬,カテーテルアブレーション,植込み型心臓電気デバイス:CIED)の適応は,この複雑性を念頭において検討する.

3.2.2 突然死

突然死のリスクは基礎疾患により異なり,その複雑性が重度なほど高い355).2000~2015年疾患別心臓突然死発生率の報告では,Eisenmenger症候群で最も高率であり(4.8/1000人・年),次に大血管転位心房内血流転換術後(2.4/1000人・年),Fontan手術後(2.1/1000人・年),修正大血管転位(2.0/1000人・年),房室中隔欠損(1.8/1000人・年),複雑CHD二心室修復後(1.3/1000人・年),Fallot四徴術後(1.0/1000人・年)が続いた355).

CHD患者においても一般成人と同様に,突然死予防には高リスク患者を早期に抽出し治療介入することが重要である.しかし,CHDは解剖,術式,血行動態が多彩であるため,突然死リスクを検討したランダム化比較試験は存在しない.そのため,突然死一次予防目的の治療介入についてのエビデンスレベルは低く,推奨ガイドライン作成は困難である.

3.3 薬物治療

急性期において血行動態の破綻がみられる場合には,頻拍の種類にかかわらずカルディオバージョンが推奨される.血行動態が安定していればペーシング治療や薬物治療が選択されるが,治療計画を立てる際にCHDの重症度や心機能のみならず,洞結節や房室結節の機能,心内血栓のリスクについての評価が必要となる.