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p.30 抽出テキスト

スIIa,エビデンスレベルC).欠損孔閉鎖後の有意な短絡のないsPAHであっても,静注薬による血液感染リスクには特に注意が必要なため,経口薬による併用療法を基本とした治療薬の選択を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB).

併用療法の際には,経口薬はどの薬物でも第一選択薬および第二併用薬としてほぼ同等の効果を期待できる182)(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB).ただし,ベラプロストの効果は限定的であり,第一選択薬・第二併用薬としては推奨されない(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).

吸入薬イロプロストは吸入回数が1日6~9回と多く,コンプライアンスの観点から第一選択薬・第二併用薬としては推奨されない(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).吸入薬使用は,経口薬で降圧不十分(mPAP ≧ 35 mmHgまたはPVR ≧ 7.5 WU)の場合や残存右心機能が低い場合(EF<0.4),肺房室弁(通常三尖弁)逆流が3度以上の場合などに,追加薬として考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).

PC注射薬は強力な効果を有するが,QOLや感染の観点からsPAHに第一選択薬・第二併用薬として使用することはまれである(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).ただし,重度のPH(WHO機能分類III度以上)で右心不全症状が強い場合には第一選択薬として使用される(推奨クラスI,エビデンスレベルC).重症ではない症例に対し併用薬として使用する場合は,1剤目や2剤目での効果が不十分な場合の3剤目以降の併用薬として考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).また,心血管系手術およびそれ以外の外科手術においても,周術期に一過性にPHが悪化(PH crisisなど)する場合には,PC注射薬を躊躇なく積極的に使用する(推奨クラスI,エビデンスレベルC).この場合,急性期を乗り切ると注射薬は減量から中止できることが多い.注射薬使用時には,血液感染リスクが低い経皮投与のトレプロスチニル296)から試す方が望ましい(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).一方,静注で使う場合は,注射用溶解液が強アルカリ性であるエポプロステノールの方が弱酸性のトレプロスチニルよりも血液感染リスクが低いとされ297–299),感染性心内膜炎のリスクがあるCHDに対しては,PC静注使用においてはエポプロステノールを優先する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB). b. 短絡未修復

次に,大きな(non-restrictive)短絡が存在するsPAH症例(表14の1.3と1.4)である.

術後遠隔期に(ときに偶発的に)見つかった短絡がsPAHのコントロール上問題になる大きなサイズ(nonrestrictive)の場合(高肺血流を生じる場合)や,心室機能

たらすことが示された290).ERAについても同様の結果が報告され291, 292),ERAやホスホジエステラーゼ(PDE)V阻害薬は,Fontan循環(不全)患者の運動耐容能・血行動態改善をもたらす可能性が示唆されている.こういった経過からFontan循環におけるPVR上昇は,PHカテゴリーに含まれる可能性があるが,現時点ではPH分類には含まれていない.本ガイドラインではPH類縁病態としてFontan循環不全を表14に示した.

2.2 薬物治療

2.2.1 薬物投与の基本

sPAHにおいて肺動脈の病理組織学的変化とPAH治療薬(肺血管拡張薬)に対する薬物反応性はともにIPAHに類似しているので,IPAHに対する薬物の効果を参考にして使用する.現在本邦ではPAHに対して,ERAでは経口薬のボセンタン,アンブリセンタン,マシテンタン,PDE V阻害薬では経口薬のシルデナフィル,タダラフィル,可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬では経口薬のリオシグアト,プロスタサイクリン誘導体(prostacyclin derivatives: PC)では注射薬のエポプロステノールとトレプロスチニル(経皮投与も可能),吸入薬イロプロスト,経口薬のベラプロストとセレキシパグがそれぞれ使用可能である182).

2.2.2 治療指針

a. 短絡修復術後

まず,短絡閉鎖が十分なされている(有意な短絡がない)修復術後sPAHの場合(表14 の1.1)である.短絡がなく病態はIPAHと同様と考え,可逆性の閉塞性肺動脈病変を薬物により積極的に正常化することを考える.PHの素因であった高肺血流は消失しているため,IPAHより進行は緩やかなことが多い.積極的な薬物投与により十分な降圧を図る.IPAHでは併用療法によるmPAP<42.5 mmHgの達成が長期予後に重要であると報告されている283).一方,正常心での右心機能保持のためにはPVR<7.5 WU(mPAP <35 mmHg)を確保することが重要との報告293)もあるが,統一された治療目標基準はない.これらの基準の厳しい方を目標として選択するならば,mPAP<35 mmHgかつPVR<7.5 WUが血行動態的治療目標となる(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).

本邦でのIPAHコントロールにおける良好な成績は薬物併用療法が主体となって達成されており182, 282, 283, 294),同様の治療効果が期待できるsPAHでも経口薬の併用療法は初期から積極的に行うほうが良いと考えられる295)(推奨クラ