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p.26 抽出テキスト

e. 呼吸補助療法

小規模の検討ではあるが,CHDにおいて睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing: SDB)の合併が多いと報告されている254).閉塞型睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome: OSAS)に対しては持続的陽圧呼吸(continuous positive airway pressure: CPAP)を中心とした治療法が確立されている255).しかし,OSAS合併心不全症例あるいはOSAS合併CHD症例に対するCPAPの予後改善効果については大規模臨床研究が行われていない.現時点では,SDB診療ガイドライン255)に従って治療されるべきである.Fontan手術後では陽圧換気にて中心静脈圧が上昇するとの報告もあり,導入は慎重に行うべきである256, 257).

1.3.2 急性心不全

急性心不全により血行動態が不安定となり,肺水腫,心原性ショック,低心拍出症候群,多臓器不全をきたしている症例では,成人の急性心不全の治療と同様に,人工呼吸管理による呼吸補助,大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping: IABP),体外膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation: ECMO)による循環補助,急性血液浄化療法を考慮する.CHDにおいては,解剖学的複雑性(下大静脈欠損,大動脈縮窄)や術後の大血管の閉塞,狭窄により,これらのサポートの導入が困難であることもある.また,成人の急性心不全と同様の管理指標が適切とは限らない症例もある.さらに,小児症例は成人と体格が異なるため,体格に応じたデバイスの選択と管理が必要となる.

確立されたエビデンスは存在しないため,機械的サポートに習熟した施設にて,個々の症例に対して治療方針を慎重に検討する必要がある.

1.4 非同期および心臓再同期療法

表13 先天性心疾患患者に対する心臓再同期療法(CRT)の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベルMinds

推奨グレードMinds

エビデンス

分類

体心室左室で, NYHA 心機能分類II~IV の慢性心不全を呈し,左室駆出率35%以下,QRS 幅120 ms 以上の完全左脚ブロックで洞調律の場合I B A II

一方で,心外膜リードでの植込みも側副血行路が多く,手術リスクが高い.いずれのアプローチにもメリットとデメリットが存在するため,症例ごとに検討する必要性がある.

近年認可されたリードレスペースメーカは,解剖学的に複雑な症例や術後の上大静脈閉塞を合併するCHD症例に有用である可能性がある.また,三尖弁逆流のある症例にもその増悪を招くことなく留置できるメリットや,感染性心内膜炎のリスクを下げるというメリットもあるが,心房-心室間の同期が得られないので,徐脈性心房細動症例以外では有用性が低い.

ペーシング治療において心室ペーシング位置が不適切であると,心室収縮の非同期性増悪から心室機能不全をきたす可能性があるので,注意を要する.心室再同期療法については「1.4 非同期および心臓再同期療法」を参照のこと.

頻脈性不整脈に対してはカテーテルアブレーションが有用であるが,解剖学的複雑性,複数の不整脈素因の存在により根治が難しいこともある153).その際は抗不整脈薬による薬物治療を行うが,抗不整脈薬の徐脈性副作用により,頻脈性不整脈への薬物治療が十分に行えないことも多い.そのような症例では,ペースメーカ植え込みのうえ抗不整脈薬を十分量投与することで,心不全管理が可能となることがある.

突然死予防目的の植込み型除細動器(ICD)の適応は,成人循環器疾患の適応に加えて,CHDの病態特性,自然歴を加味して推奨されている153).近年使用可能となった皮下植込み型除細動器(subcutaneous ICD: S-ICD)は,徐脈性不整脈がなければ,感染性心内膜炎の高リスクであるCHD術後症例に有用と思われる. c. 運動療法

CHD修復術後遠隔期の患者においては幼少期からの慢性経過の中で自らの運動耐容能低下を自覚していないことも多いが,1/3以上の患者で運動耐容能の低下を認めることが報告されている250, 251).CHDに対する運動療法の大規模臨床研究は報告がなく,少数症例において運動療法後の6分間歩行距離の延長や最高酸素摂取量(peak V

4 O2)の

改善が報告されているのみである250, 252).比較的若年の患者が多く,日常生活の活動度自体が高く過負荷となっていることもあり,心肺運動負荷試験に基づく,個々の病態にあわせた運動・活動の指導が望ましい. d. 在宅酸素療法

在宅酸素療法はEisenmenger症候群においても,予後や運動耐容能,QOLに対する効果が証明されていない.しかし重度の右心不全や高度の低酸素血症を呈する症例に対しては,症状軽減を目的とした酸素投与が有効である253).