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p.18 抽出テキスト

位相画像では心拍出量や肺体血流比(Qp/Qs),弁逆流,弁狭窄,左右肺血流の定量が可能であり,最近は血流の仕事率や損失,Fontan術後の体肺短絡量の測定などが試みられている.本法では最大流速範囲(VENC)を適切に設定する,可能なかぎり乱流成分の少ない血流を選ぶことなどが必要である178).

心血管の3D形態評価には,ガドリニウム造影剤を使用する方法(MR血管造影)と,造影剤を投与せずに心電図・呼吸同期を併用して3D画像を描出する方法とがあるが,後者は撮影時間が長くなる傾向にある177).さらに遅延造影法(late gadolinium enhancement: LGE)により局所的な心筋

線維化を描出できる.CHDにおけるLGEと心イベント予後との関連はエビデンスに乏しく,LGEの臨床的意義は現時点では不明である162, 177).近年,び漫性心筋障害の定量的指標としてT1マッピング法から求められる細胞外容積の測定などが試みられているが162),現時点ではエビデンスに乏しい.ガドリニウム造影剤による腎性全身性線維症のリスクがある腎機能障害(eGFR<30 mL/min/1.73m 2)では,非造影による画像診断法が考慮されるべきである178).

心臓MRIは被ばくがなく,CHDの画像診断にはきわめて有用であるが,1撮像時間が長く,息止め困難の症例では画像の描出が不鮮明になる傾向にあること,2MRI非対応のペーシングリード・ペースメーカ・ICDは禁忌であること,3コイル,ステント,ワイヤ,人工弁などの金属デバイス,MRI対応のペースメーカ・ICDでは検査の実施そのものは可能だが,金属によるアーチファクトのため画質が劣化すること177),などの限界がある.

3.4 心臓カテーテル検査

心エコー法,CT,MRIなどの非侵襲的検査法の進歩は著しいが,CHDの心臓カテーテル検査はCHD術後遠隔期にも有用で,他の検査には替えられない部分がある.例えばFontan術後症例では,長期予後と中心静脈圧が相関することが明らかになってきたが179),この中心静脈圧は心臓カテーテル検査でなければ測定できない.したがって, CHD術後遠隔期の評価手段として心臓カテーテル検査がなくなることはない.また,カテーテル治療目的に心臓カテーテル検査を行うことも近年増加している.

3.4.1 適応

心臓カテーテル検査は侵襲的な検査で合併症も存在するため,その適応は厳密であるべきである.CHDの多くは心エコー法,CT,MRIなどの非侵襲的検査で形態的診断が可能である.そのためCHD術後症例での心臓カテー

ドB,エビデンスレベルIVa(B)),発症予防には検査前後の生理食塩水輸液が有効とされている(推奨グレードA,エビデンスレベルII)

174).特に高齢者やチアノーゼ性腎症

合併例などでは注意が必要である.

CT検査が有用なCHDを以下に記載する.1冠動脈起始異常・冠動脈移転の手術操作後(動脈スイッチ手術, Ross手術など)における冠動脈起始部の大動脈との角度,開口部の狭窄や大血管間走行による圧迫などの有無の確認,2右室流出路心外導管に対して経皮的肺動脈弁留置術などのカテーテル治療や外科手術を行う場合,石灰化の評価,導管のサイズや位置の決定,治療に伴う冠動脈圧迫の推定,右室流出路近傍を走る冠動脈の術前確認,3再手術時の胸骨再切開に際して胸骨下に近接した心外導管や心臓の位置確認,心臓の胸壁癒着および心外膜の評価, 4Fontan術後の血流路内,痕跡的心室内,肺動脈絞扼後盲端内の血栓の検出,5非心血管系の周囲構造物(気道,肺実質,骨)と血管の位置関係などの評価162, 175).

4次元CT(4DCT)は2次元MRIに比べて時間分解能で劣るが,近年では注目されている.後方視的心電図同期を併用した64列以上のCTスキャン装置による撮影では,心臓の拡張末期と収縮末期の画像が得られ,心室心房容積・収縮能の評価も可能である175, 176).今後は従来のMRI非対応ペースメーカ植込み症例などで活用されることが予想されるが,現時点ではCHDの画像診断におけるエビデンスは乏しい.

3.3.2 心臓MRI

単純CTに比べて時間分解能,コントラスト分解能に優れ,放射線被ばくがなく,複雑な構造物の3次元的描出が可能である.造影剤を使用せずとも心室心房容積・収縮能の評価,弁逆流・弁血管狭窄の定量的評価が可能である.さらにガドリニウム造影剤を使用することにより,心筋組織性状診断,心筋灌流(perfusion)評価が可能である.

AHA/ACCの2018年ガイドラインでは,右室疾患のACHDにおいては右室容積・機能の評価に心臓MRIを推奨し(推奨グレードI),複雑CHDにおいてはスクリーニングに心臓MRIが有用(推奨グレードIIa)としている3).

右室計測については房室間の区別をつけやすい体軸横断像を用いるほうが,精度と再現性のいずれにおいても優れるとされている177).心室内腔の辺縁設定では,左右心室とも乳頭筋や肉柱を心室内腔に含めて行われるのが一般的であるが177),使用するソフトウェアにより異なる.右室計測は自動計測ソフトを使用することができず,検者間誤差が懸念されるため,同一患者を経時的に比較する場合には方法を一定にしておくことが重要である162, 177).