p.15 抽出テキスト
中等度以上の複雑CHD患者においては,外来受診ごと,または少なくとも3~6ヵ月に1度は安静時心電図検査を施行し,心電図波形や調律の変化をモニタリングする. 3.1.2 ホルター心電図 ホルター心電図検査の目的は,不整脈合併の有無とその臨床的意義の評価,心臓自律神経機能の評価(心拍変動法,心拍タービュランス),再分極過程の不均一性の評価(QT dynamics,T波オルタナンス),原因不明の失神・めまい・動悸・胸痛の評価である146).24時間ホルター心電図で診断できない場合,長時間記録が可能なイベントモニタや体外式ループ式長時間心電計が有用なことがあり,考慮されるべき検査法である. CHD患者の突然死予測におけるホルター心電図の有用性は報告により異なる135, 147).自律神経機能の評価については,CHDの自律神経活動は過去の手術による除神経,開胸による肺障害合併の影響のため低下しているので,予後の指標としては一般成人の場合に比して精度において劣ると考えられる148). 3.1.3 運動負荷心電図 運動負荷心電図検査は不整脈・虚血・治療効果・ペースメーカ作動状況の評価を目的として行う.運動中の心電図のモニタリングにより,運動中の心拍数測定と不整脈や伝導障害の検出を行い,ST変化やQT波形を評価する. CHD患者における運動中の心拍数上昇の程度には,自律神経機能に加え洞機能不全も関与するため,潜在性洞機能不全を評価できる149, 150).心肺運動負荷試験の詳細は第3章の「2. 運動」を参照のこと. 3.1.4 加算平均心電図 加算平均心電図は数百拍以上の心拍波形を加算平均し, QRS終末部分の微小電位の有無を検出する.この微小電位は心室の遅延電位であり,心室頻拍の不整脈基質となり,将来の心室頻拍・突然死の予測因子となる151).脚ブロックを合併している場合にはその精度は劣る.CHDにおいてもある程度は有用であるが,その報告は限られている151, 152). 3.1.5 植込み型心臓モニタ 植込み型心臓モニタ(implantable cardiac monitor: ICM)は本邦では,原因不明の失神患者や潜因性脳梗塞患者の心房細動検出のための使用が保険適用となっている.日本循環器学会の「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」153)では,ホルター心電図を含む長時間心電図で原因が同定されない原因不明の再発性失神の患者や,治 くない128–132). 1.5心室修復は二心室修復とFontan手術の中間型であり,両群間で血行動態的にスペクトラムを形成している.将来, Fontan循環へ移行せざるをえない症例もある. 2.2.4 姑息術 修復手術が実施できなければ,姑息術により血行動態的バランスを保っていくことになる.肺高血圧やチアノーゼの程度と,これらによる循環効率,全身臓器への影響を注意深く観察する. 肺動脈絞扼や体肺短絡術により肺血流を調節することが多い.長期にわたるため,肺動脈の瘤状変形や狭窄,短絡路の閉塞が起こりうる.Glenn循環では,側副血行路の発達や肺動静脈瘻の進行に留意する. ペースメーカやICDの植込みでは,経静脈的アプローチが適切でない場合,心外膜アプローチも選択肢となる.経静脈的リードの抜去に際しては外科的スタンバイが必要なことがある. 3 遠隔期の管理と治療に必要な 評価手段 3.1 心電図 3.1.1 安静時心電図 安静時心電図から得られる情報は多く,徐脈や頻脈などの調律異常のみならず,P波,QRS波の形態から心負荷の程度や刺激伝導系の位置を推定しうる. P波の形態からは基本調律の位置を確認する.振幅は心房負荷が強い場合には増加するが,心房リモデリングが進むと低下する133).Fontan術後患者のP波幅は右房径と正相関したとする報告がある134). QRS幅は,Fallot四徴をはじめとするCHD患者の心室不整脈や突然死の危険因子として知られる135–139).Fontan術後患者におけるQRS幅は心室容積,運動耐容能と密接に関連し,不整脈時の血行動態破綻と関連したとの報告がある140–142).さらに,「連続する2つ以上の誘導のR/S波に2つ以上のノッチが存在するもの」と定義されるfractionated QRS complex(fQRS)は,一般成人における心疾患で心室不整脈や突然死の予測因子とされているが,CHDにおいても予後や突然死と関連があるとの報告が散見される136, 139, 143–145).