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症や続発症の発症率が高く,治療が困難な病態では移植や終末期医療も念頭に置いた管理が必要である.第3章「5.診療体制」の項で述べるように,専門性を備えた独自の継続的な管理体制を構築することがCHD修復後患者のQOLの向上につながる24). 2 経過観察の必要性―外科的 CHDの大多数が外科的介入(修復術,姑息術)を要する.それぞれの疾患に合わせた治療戦略や術式の改良により,成績は向上してきた.手術には人工材料を用いることが多々あり,その耐久性や材料に対する生体反応について経過観察を要する.また,術式の歴史的変遷や新たな術式に関連した続発症の知見,そして再治療へ向けた計画など,外科的観点からの状況判断も適切な治療方針の選択に重要である. 2.1 人工材料の耐久性 修復術,姑息術ではさまざまな人工材料が使用される.品質や性能の向上は著明であるが,感染,変性や石灰化などによる劣化,成長能の欠如による身体発育後のサイズ不適合など,異物としての問題は解決されていない.したがって,それに伴う追加手術,再手術を必要とすることも少なくない25). 2.1.1 パッチ パッチは欠損孔閉鎖や狭窄部拡大のため頻用される.材質はグルタールアルデヒド処理した自己心膜,異種心膜(ウシ,ブタ由来など),生体基材に定着させた自己細胞由来のコラーゲン線維,ポリエステル(Dacron),延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などがある.いずれも発育せず,術後遠隔期には結合組織(仮性内膜)で覆われ,その後の石灰化につながる. 新鮮・無処理の自己心膜は,石灰化は低頻度だが,高圧(左室圧や大動脈圧など)に晒される部位に用いると瘤化する危険性が高い. 組織工学の手法を用いた材質は.自己内皮細胞による内膜形成により変性や石灰化が生じにくく,発育の可能性も期待されるが,未だ開発途上である. 2.1.2 人工弁 小児・青年期での人工弁使用にはサイズ,耐久性や抗凝固療法の困難さなど特有の問題がある.生体弁と機械弁, 同種弁(ホモグラフト〔大動脈弁,肺動脈弁〕)がある.本邦では特に右心系においてePTFEを用いた手製の弁が好んで用いられている(表6). パンヌス形成,血栓弁などによる人工弁機能不全は再手術の適応となる.加えて,身体発育に伴いサイズアップが必要となる.適切な種類とサイズ,具体的な術式(特に侵襲的な弁輪拡大の要否など)について十分に検討する必要がある26–30). 自己肺動脈弁を用いた大動脈弁置換(Ross手術)では成長が期待でき,抗凝固は不要である.一方,大動脈弁単独の疾患を大動脈・肺動脈二弁の問題に拡大してしまう可能性も秘めている31–38). Ozaki手術は,弁形成と人工弁置換との中間に位置する治療法である.グルタールアルデヒド処理を行った自己心膜片で半月弁弁尖を作製し,左室・大動脈接合部近傍に縫着する.早期血行動態は優れるとされるが,小児・若年者における長期成績は不明である39–43). a. 右心系 CHDの手術では右心系に対する処置が多く,三尖弁,肺動脈弁の機能不全を生じることがある44)(表7).CHDに関連する感染性心内膜炎では右心系に病変が多い.このため右心系に人工弁を要する頻度が後天性心疾患領域よりも高い.多くの例で生体弁が用いられる.特殊な状況では機械弁を用いることもあるが,血栓形成の危惧は拭えな 表6先天性心疾患に用いられる人工弁の種類と特徴 生体弁小児や若年成人,妊婦では早期の変性・劣化・石灰化による機 能不全を生じやすい.材質はグルタールアルデヒド処理したブタ大動脈弁,ウシ心膜弁で,さらに抗石灰化処理や枠組み(ステント)への縫着・固定方法,弁尖処理法により弁機能,耐久性の改善が図られている.ステントレス弁や心膜外巻弁も用いられる.将来のカテーテル治療(valve-in-valve)により外科的再手術を回避することを目指した生体弁も製品化されており,右心系で選択肢となる.小児期には右室流出路再建時に,自己心膜あるいは異種心膜を用いた手製一弁つき流出路拡大パッチを用いることで,早期の肺動脈狭窄を回避するのが一般的である.機械弁抗凝固療法の煩雑さがある. PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)弁本邦では肺動脈弁を含む右室流出路再建時に,ePTFE膜を用い た弁尖を設置する手技(手製一弁付きパッチあるいは三尖付き導管)が好んで用いられる.同種弁(大動脈弁,肺動脈弁を含む凍結保存ホモグラフト)右室–肺動脈間心外導管,大動脈弁位や難治性感染性心内膜炎 例で使用される.自己肺動脈弁(Ross手術,Ross-Konno手術)大動脈弁位で用いる.