p.106 抽出テキスト
期死亡0~16%,遠隔期10年生存率86~100%と報告されている1110). 竹内法の術後合併症には肺動脈弁上狭窄,バッフル狭窄・リーク,肺動脈弁閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全などが挙げられ,冠動脈移植法と比べて再手術率が高いとの報告がある1108, 1109).これらに加え,BWG症候群の一部の術後症例では,冠動脈狭窄とそれによる左心機能低下や僧帽弁閉鎖不全が進行することもあるため,定期的なフォローアップが必要である.術後の冠動脈形態や心筋還流に問題が疑われる症例には冠動脈CT,心臓MRI,負荷心筋イメージ検査が行われる162, 1106). 18.1.2 右冠動脈肺動脈起始 右冠動脈肺動脈起始では,冠動脈異常に伴う症状を認める場合に推奨クラスI(エビデンスレベルC)の手術適応,無症状患者は心室機能障害や冠動脈異常による心筋虚血を合併する場合に推奨クラスIIa(エビデンスレベルC)の手術適応となる3, 563). 18.1.3 冠動脈対側大動脈洞起始 冠動脈対側大動脈洞起始には左冠動脈右冠動脈洞起始と右冠動脈左冠動脈洞起始がある.臨床的に問題となることが多いのは,起始異常の冠動脈が大動脈–肺動脈間を走行する場合で,若年者の突然死の危険因子として知られる3, 162, 1106).突然死の原因は,大動脈壁内走行やスリット状の開口部が運動時に圧排され虚血を生じるためとされる.欧米のガイドラインでは,冠動脈異常による虚血症状あるいは運動負荷による虚血の証明は,推奨クラスI(エビデンスレベルB 3) またはC 563))の手術適応とされる.また本症では,無症状であっても心筋虚血,解剖学的高リスク,心室不整脈などが存在する場合は推奨クラスIIa(エビデン スレベルC)の手術適応となる3, 563). 修復術後は,適切な間隔での心エコー検査による定期的なフォローアップが必要である162).また状態変化や新たな症状出現の際は冠動脈CT,心臓MRI,負荷心筋イメージ検査が推奨される.未修復の右冠動脈左冠動脈洞起始では2~5年ごとの心エコー検査による経過観察が望ましい162). 18.2 冠動脈瘻 冠動脈瘻は冠動脈と心内腔,体・肺静脈,冠静脈または肺動脈との直接の交通により,心筋灌流がバイパスされる状態である.冠動脈造影を受けた成人の0.18%に認められる1111).また他のCHDにも合併する1112, 1113).流入血管は右冠動脈が多く1106),交通部位は右心系や肺動脈が多い1114). 小さな瘻は通常,無症状である.大きな冠動脈瘻は経年的に増大し,心筋虚血,心室容量負荷による心不全,感染性心内膜炎,肺高血圧症,冠動脈瘤形成,冠動脈血栓形成などの危険因子となる1114).こうした症例では治療適応があり,カテーテルによる閉鎖や外科的結紮術が行われる.周術期または遠隔期の心筋梗塞合併はまれではなく,冠動脈疾患治療の知識を有する小児循環器科医,循環器科医,心臓血管外科医によるレビューで治療適応を決定することが望ましい3). 未修復例,修復後例ともに適切な間隔での心エコー検査による定期的なフォローアップが必要である.また術後に虚血が疑われる場合は冠動脈CT,心臓MRI,負荷心筋イメージ検査で評価を行う162).