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p.105 抽出テキスト

無症候性重症・中等症MSで,新規発症心房細動,塞栓症の既往がある症例に対して僧帽弁手術を考慮してもよい. IIb C C1 III LVEF:左室駆出率,LVESD:左室収縮末期径,LVESDI:左室収縮期末期径係数(=LVESD/体表面積),PASP:肺動脈収縮期圧[2020年改訂版 弁膜症治療のガイドラインからの変更点]表12 の第3,5(改変),6,7項,表21 の第1,4(改変),6項より. Mindsの推奨グレードとエビデンス分類を追加. (日本循環器学会ほか. 2020 666)より改変)

初回治療後の狭窄と閉鎖不全に関する再手術回避率は報告により異なるが101, 1100–1103),成人例における後天性の場合よりも再手術の発生率は高い.再手術では初回手術に比べて弁置換術の割合が高い.

先天性の僧帽弁疾患は発症率が低いことから,再手術に関する治療適応の基準は明確ではないが,術後遠隔期のMS,MRに対する再手術の適応は,通常の弁膜症治療のガイドラインに準じる666).ただし,比較的若年で初回手術を受けることが多いため,再手術・再インターベンションの適応・時期・術式を決定する際には,患者の年齢や臨床背景,再手術となることによるリスクなどを,症例ごとに十分に考慮することが重要である.

17.4.2 人工弁機能不全,人工弁相対的狭窄

推奨は表47に示した.基本的に大動脈弁位の場合と同様である.血栓弁による症状が出現した場合は緊急の初期対応が求められる.低用量血栓溶解療法または緊急手術が選択される(推奨クラスI,エビデンスレベルC).

心不全症状のある重症人工弁狭窄・逆流に対して,外科的再弁置換術を行う(推奨クラスI,エビデンスレベルC).重度の溶血をきたす人工弁逆流(多くは弁周囲逆流)に対して,外科的再弁置換術を行う(推奨クラスI,エビデンスレベルC).無症状の重症人工弁狭窄・逆流に対しては,自己弁の際の適応を参考にしながら,再手術であるというリスクも考慮に入れ,適応をハートチームで慎重に決定する.

小児患者の発育による人工弁の相対的狭窄に対する再手術時期については,まだ確立された適応基準はない.基本的に人工弁機能不全に準じるが,患者の年齢や再手術のリスク,その後の再々手術の可能性などを考慮に入れながら,ハートチームで症例ごとに決定する.

17.4.3 自己弁・人工弁感染性心内膜炎

詳細は「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」494)を参照されたい.

17.4.4 その他

弁置換術後の完全房室ブロックなどがあげられる.

18 冠動脈異常

先天性の冠動脈異常は,単独で罹患している場合と他のCHDに合併する場合とがある.有病率は調査した対象集団により異なるが,0.21~5.79%と報告されている1104).冠動脈異常はAngeliniの解剖学的特徴に基づく分類により,1起始異常および走行異常,2冠動脈に内在する異常, 3終末部の異常,の3つに大別される1105).先天性冠動脈異常は突然死を含む予後不良やCHDの修復方法の選択に大きな影響を与えるため,適切な診断と経過観察の重要性が指摘されている3, 162, 1106).本項では冠動脈単独の先天性異常について述べる.

18.1 冠動脈起始異常

18.1.1 左冠動脈肺動脈起始

左冠動脈肺動脈起始は「Bland-White-Garland症候群」(BWG症候群)とも呼ばれ,左冠動脈が肺動脈主幹部より起始する異常である162, 1106).生後の肺動脈圧低下に伴い,左冠動脈血流は右冠動脈からの側副路により逆行性に還流されるようになる.その結果,左冠動脈領域の心筋虚血を生じ,左室拡大,左心機能低下,僧帽弁閉鎖不全を呈する.未治療では乳児期に心不全,突然死をもたらす重症疾患である1107).側副路が発達した症例では成人期に診断されることもある.

診断の手がかりとしては心電図上I,aVL誘導での深いQ波が特徴的である.またスクリーニングには心エコー検査が有用である.確定診断には冠動脈CT,心臓MRIが用いられる1106).

欧米のACHDガイドラインにおいて,本症は診断され次第,手術適応である(推奨クラスI,エビデンスレベルB 3) またはC 563)).術式には,左冠動脈の大動脈への移植や,肺動脈内にトンネルを用いて大動脈と交通させる竹内法がある.術後,大多数の症例では左室の機能と容積の改善が得られ,それに伴い僧帽弁逆流の減少も認められる.そのため,合併する僧帽弁閉鎖不全に対する同時弁形成術の必要性については見解が分かれている1108, 1109).手術成績は早