p.101 抽出テキスト
16.1.6 弁上狭窄切除術+パッチ拡大術,または上行 大動脈置換術 弁上狭窄例において,狭窄部位に線維性の突出がある場合はその切除を行い,パッチ拡大を行う.Williams症候群など低形成型で,パッチ拡大では狭窄解除が困難な場合は,上行大動脈置換術を行う. 術後遠隔期に再狭窄や大動脈弁逆流をきたすことがあるため,定期的な心エコー検査によるフォローアップが必要である. 16.2 遠隔期の検査 表43 大動脈弁および僧帽弁の術後フォローアップ検査の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベルMinds 推奨グレードMinds エビデンス 分類 術後の弁機能や心機能評価のための定期的なTTE を行う. I B A II症状または身体所見に何らかの変化が認められる症例に対してTTE を行う. I C A III TTE での評価が不十分な場合や,さらに精査が必要な場合にTEE を行う. I B A II機械弁の弁機能不全が疑われた場合に弁透視検査を行う. I C A III心エコー検査での評価が困難な有症状例や,臨床症状と心エコー所見に解離があるような症例に対して,心臓カテーテル検査による重症度・血行動態評価を考慮する. IIa C B III TTE:経胸壁心エコー検査,TEE:経食道心エコー検査[2020年改訂版 弁膜症治療のガイドラインからの変更点]第2項と第3項は表4より,第5項は表7より,第1項と第4項は追加. Mindsの推奨グレードとエビデンス分類を追加. (日本循環器学会ほか. 2020 666)より改変) 弁機能や心機能に関して定期的な心エコー検査が推奨される(推奨クラスI,エビデンスレベルC).フォローアップ期間に関しては明確な基準はないが,術後の弁機能やその進行度によって異なる.フォローアップで心エコー検査を行う間隔の目安を表44に示す. 機械弁の弁機能不全が疑われる場合には,X線透視で弁葉の開放角度を確認する必要がある(推奨クラスI,エビデンスレベルC).弁機能不全を疑う症状があり,心エ コー法で評価が困難な症例や,臨床症状と心エコー所見に解離があるような症例に対しては,重症度と血行動態の評価のために心臓カテーテル検査も考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC). 16.3 遠隔期の内科治療 表45 大動脈弁および僧帽弁の術後遠隔期における内科治療の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベルMinds 推奨グレードMinds エビデンス 分類 機械弁置換術後患者に対してワルファリンによる永続的な抗凝固療法を行う.ワルファリンコントロールのPT-INR の目安・ 大動脈弁位:PT-INR 2.0 ~2.5・ 大動脈弁位かつ塞栓症リスク有り:PT-INR 2.0~ 3.0・ 僧帽弁位:PT-INR 2.0~ 3.0 I B A II 心機能低下例や心不全合併例に対して心不全治療薬(レニン・アンジオテンシン系阻害薬・β遮断薬など)を投与する. I A A I適切な抗凝固療法中であっても明らかな血栓塞栓症を発症した機械弁置換術後患者に対するワルファリン投与において,PT-INR 2.5~ 3.5 を目標とすることを考慮する. IIa C B III適切な抗凝固療法中であっても明らかな血栓塞栓症を発症した機械弁置換術後患者に対してアスピリンの併用を考慮してもよい. IIb C C1 III 表44 大動脈弁および僧帽弁の術後フォローアップで心エコー検査を行う頻度の目安 重症度頻度の目安 重症弁狭窄・弁逆流がみられる症例半年~1年に1回中等症弁狭窄・弁逆流がみられる症例1~2年に1回軽症弁狭窄・弁逆流がみられる症例3~5年に1回明らかな弁機能不全のみられない症例1~2年に1回