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p.10 抽出テキスト

これに比例して再侵襲的治療が必要な症例も増加し,疾患によってはこの数年間に集積したデータをまとめた報告が増加してきた.特に前回のガイドライン改訂時に今回への宿題となっていた,左心低形成症候群の遠隔期生存例が増加している現状から,第4章の一項として加えた.さらに,前回の改訂時から8年が経過し,終末期医療,緩和医療といった患者との真摯な対峙が求められる機会が増加した医療現場を意識したものとした.

推奨クラスとエビデンスレベル

本ガイドラインにおける推奨クラスとエビデンスレベルは,論文に基づき各執筆者が判断し,従来のガイドラインの記載方法を踏襲した(表1,2).また,一部の推奨表では医療情報サービス事業Mindsによる推奨グレードとエビデンス分類も併記した(表3,4) 2).

ガイドライン作成においては,できるかぎり多くの症例を分析した確固たるエビデンスをベースにするのが好ましい.しかしながら,CHDは多くの構造異常を含み,構造異常の組み合わせも複雑であるため,長期予後などの多数の症例を対象とする分析は,一部の疾患・病態を除いて報告が少ない.また,重症疾患の中には近年ようやく長期生存例が現れたものがあることなどから,術後遠隔期の合併症の発症率や侵襲的治療の適応については,明確なエビデンスに欠けることが多い.したがって本ガイドラインでは,

エビデンスのレベルとして多数を占めたのがレベルC(多くの専門家の一致した意見)となってしまう.しかし,本ガイドライン作成班会議において本邦の小児循環器科,小児心臓外科,そしてACHD診療に深く関わる循環器内科,さらに看護のエキスパートが,多数の専門家の一致した意見であることを確認しているので,十分信頼できるものと考える.

最後に,本ガイドラインの推奨事項を参照するにあたっては,CHDに対する外科手術は近年,画像診断機能の進歩に加え,手技,アプローチ,心筋保護法などが大きく変遷していることから,今後は遠隔期成績も向上することが予想され,術後の管理や再侵襲的治療の手法も変化する可能性があることを念頭に置かれるよう,お願いしたい.

表1推奨クラス分類

クラスI手技・治療が有効・有用であるというエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.

クラスIIaエビデンス・見解から有効・有用である可能性が高い.

クラスIIbエビデンス・見解から有効性・有用性がそれほど確立されていない.

クラスIII No benefit手技・治療が有効・有用でないというエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.クラスIII

Harm手技・治療が有害であるというエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している. ※日本循環器学会の他のガイドラインから引用された推奨表では,クラスIIIがNo benefitとHarmに分けられていないものがある.

表2エビデンスレベル

レベルA複数のランダム化介入臨床試験またはメタ解析で実証されたもの.レベルB単一のランダム化介入臨床試験またはランダム化介入でない大規模な臨床試験で実証されたもの.

レベルCランダム化介入でない小規模な臨床試験,後ろ向き研究,登録研究などの結果,または専門家の間での合意に基づくもの.表3 Minds 推奨グレード

グレードA強い科学的根拠があり,行うよう強く勧められる.

グレードB科学的根拠があり,行うよう勧められる.

グレードC1科学的根拠はないが,行うよう勧められる.

グレードC2科学的根拠はなく,行わないよう勧められる.

グレードD無効性あるいは害を示す科学的根拠があり,行わないよう勧められる. (Minds診療ガイドライン選定部会. 2007 2). p. 16 より)

表4 Minds エビデンス分類(治療に関する論文のエビデンスレベルの分類)

Iシステマティックレビュー/ ランダム化比較試験のメタ解析

IIランダム化比較試験

III非ランダム化比較試験

IVa分析疫学的研究(コホート研究)

IVb分析疫学的研究(症例対照研究,横断研究)

V記述研究(症例報告やケースシリーズ)

VI患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見(Minds診療ガイドライン選定部会. 2007 2). p. 15 より改変)