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p.9 抽出テキスト

2019年に発表された欧州心臓病学会(European Society of Cardiology : ESC)ガイドラインでは,ACSの対照的な臨床的概念として,新たに慢性冠症候群(chronic coronary syndrome: CCS)という用語が導入され,臨床現場でよく経験する6つのサブタイプ(I ~VI)が提示された(図1).CCS IとIVは古典的“安定CAD”と称され,この2つのパターンはISCHEMIA試験登録患者の多くを占めており,本アップデートの主なターゲットとなっている. CCS IIとVI,および腎機能障害(eGFR<30 mL/分/1.73m

2 または維持透析)に関する内容も本アップデートで記載し

ている.

反対にACS発症後1年未満の安定している患者や最近血行再建を受けた患者(CCS III),冠攣縮または微小血管障害を伴う狭心症患者(CCS V)については本アップデートでは言及しておらず,その推奨については該当のガイドラインなどを参照されたい.なお,ISCHEMIA試験では

非侵襲的画像検査または負荷心電図によって中等度以上の安定型虚血を有するCADと判断された患者の17%において,閉塞性CADが認められなかった.このような非閉塞性冠動脈を伴う狭心症患者は臨床的イベント発生の高リスクであることが近年報告されており6, 7),現段階では症例ベースの管理が妥当と考えられる.

本フォーカスアップデートで言及しない疾患領域本フォーカスアップデートにおける主な改訂点

1 安定CADの検査前確率(pre-test probability: PTP)と

臨床的尤度(clinical likelihood: CL)の系統的評価方法を示した.

2 検査前確率・臨床的尤度(PTP・CL)シーケンスと各

施設における画像検査モダリティの使用状況を加味した非侵襲的画像検査選択の最適化アルゴリズムを作成した.

3 解剖学的・機能的リスクおよびOMTへの反応性に基づ

いた侵襲的冠動脈造影と血行再建の適応とそのタイミングを明記した.

4 イベント予防と症状緩和を目的とした最新の目標設定

型OMTの早期導入の重要性を強調した.

推奨クラスとエビデンスレベル

本フォーカスアップデートでは,推奨とエビデンスレベルについて,表1,2の通り分類する.本アップデートでカバーしているCCS サブタイプ

CCS  I :  “ 安定型” 狭心症の症状かつ/ または呼吸苦を有するCAD およびCAD 疑いの患者CCS  II :  新規発症の心不全または左室機能障害を有するCAD 疑いの患者CCS IV :  CAD の診断または血行再建より1 年以上経った無症候性または症候性の患者CCS VI :  スクリーニング検査でCAD が発見された無症候性の

患者

表1推奨クラス分類

クラスI手技・治療が有効・有用であるというエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.

クラスIIaエビデンス・見解から,有効・有用である可能性が高い.

クラスIIbエビデンス・見解から,有効性・有用性がそれほど確立されていない.

クラスIII No benefit手技・治療が有効・有用でないとのエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.クラスIII

Harm手技・治療が,有害であるとのエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.

表2エビデンスレベル

レベルA複数のランダム化臨床試験またはメタ解析で実証されたもの.レベルB単一のランダム化臨床試験またはランダムではない大規模な臨床試験で実証されたもの.

レベルCランダム化介入でない小規模な臨床試験,後ろ向き研究,登録研究などの結果,または専門家の間での合意に基づくもの.