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p.34 抽出テキスト

CKDのあるCAD患者におけるポイントや臨床試験のアップデート・ CKD患者において,CCTAを施行する場合には急性

腎障害を,造影CMRを施行する場合には腎性全身性線維症のリスクを考慮する必要がある230).・ 腎移植前の心臓評価のために冠動脈カルシウムスキャ

ン,CCTA,SPECTのいずれも施行された138例(うち43%は透析患者)を対象とした前向き研究において,侵襲的冠動脈造影検査で示された閉塞病変(50%以上の狭窄)を検出することに対して,SPECTは低い感度(53%)と中等度の特異度(82%)を示した224).そして, SPECTが正常であったもののうち14%は侵襲的冠動脈造影検査で閉塞病変を認めた.・ SHARP試験において,シンバスタチンとエゼチミブ

の併用療法はCKD患者(非透析患者)における心血管イベントを低減させた231).・ 透析患者においては,2つのRCTともスタチンの一次

予防効果は示されず,SHARP試験でも同様の結果であった231-233).・ ISCHEMIA-CKD 試験は777例のeGFR<30 mL/

分/1.73m 2 の重度CKDと中等度・高度虚血を伴う安定CAD患者(CCTAは診断過程で必須ではない)をランダムに割付けした.早期侵襲的戦略群は早期保存的戦略群にくらべ死亡や非致死性MIの発生を低減できず,むしろ脳卒中の発生を増加させたことを報告している8).

3 高齢者

高齢のCAD患者はしばしばフレイルを伴い,死亡リスクが高い234).

高齢者の評価のポイント・ 高齢者における症状は非典型的であることが多く,検

査前確率(pre-test probability: PTP)や患者報告アウトカム(patient-reported outcome: PRO)の正確な評価は難しい234, 235).・ 高感度トロポニンの上昇は,おそらく不顕性の心筋障

害を反映しており,若年成人より高齢者で起こりやすい.そのため,心筋梗塞を定義するために用いられるトロポニンの閾値は若年成人より高めに設定されている236).・ 運動能力の評価は,それぞれのリスク層別化に付加的

な情報をもたらすが,高齢者においては,筋力および認知機能の低下のため,しばしば実用的でない237).

高齢患者では,内科的治療,侵襲的治療ともに特別な考慮(以下に列挙)を要する.

高齢者への治療のポイント・ 薬剤の副作用,薬剤不耐容および過量は,高齢者では

頻繁に起こるため,2019年のESCガイドラインはこのような患者での慎重なモニタリングを推奨している15).・ 低血圧と刺激伝導系障害は,硝酸薬,β 遮断薬,ある

いはジヒドロピリジン系・非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬などの抗狭心症薬を処方されている高齢患者でしばしばみられる.・ 同様に,高齢者に対する抗血栓療法は,出血性リスク

と血栓症リスクを評価してからのみ行われるべきである172).・ スタチンを含む脂質降下薬は一般に二次予防目的で

CAD患者に勧められるものの,スタチンによる予後を評価するほとんどの大規模RCTは45~75歳の患者しか含んでいないため,高齢者への脂質低下療法によって期待できる利益はいまだ不明である238).・ 高齢者では侵襲的治療に対する合併症が生じやすいこ

とからも,高齢者の安定CADの治療は複雑であり,血行再建の決定は,余命などの多数の修飾因子に基づき個別化されるべきである239).・ 高齢者の治療に対する2019年のESCガイドラインの

唯一の決定的な推奨は,PCIが適用される場合の薬剤溶出性ステントの使用のみである15).これは最近の2つの試験の結果に基づいたもので,両試験とも,薬剤溶出性ステント使用と短いDAPT期間の組み合わせが,ベアメタルステントに対して優越性があったことを証明した240, 241).