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p.33 抽出テキスト

収縮機能不全を導く15).一般的には虚血に起因するLVEF低下を伴う患者は心臓突然死のリスクが高い211).しかしながら,CADと関連する左室機能不全の病態は不均一である.患者は,多枝病変により直接的な病態に苦しむこともあれば,CADが他の病因による心筋症に併存しているだけの場合もある.

心不全,左室機能不全患者への治療のポイント・ 左室機能不全は安静時心エコー図と安静時心電図の

虚血変化を組み合わせて評価され(第1章参照),いったん左室機能障害が同定されたら,以降の非侵襲的検査やOMTはそれに従って調整されるべきである.・ 非侵襲的画像検査に加えて(第2章参照),心筋バイア

ビリティの評価も血行再建の利益を予測する一助となる58, 212).

症候性の心不全患者では,CCTAあるいは侵襲的冠動脈造影によって冠動脈病変の重症度を明らかにするとともに,血行再建の利益について検討し,それぞれ相当する心不全の表現型に対する診療ガイドラインの推奨に基づき管理されるべきである213-216).適応があれば,デバイス治療(心臓再同期療法/除細動器植込み)を行う217).左室機能不全に対する血行再建の有益な効果は,理論的には冬眠心筋の機能を回復させること,または致死性不整脈を予防する可能性があることである218).

心不全,左室機能不全を伴う安定CAD患者における臨床試験のアップデート・ LVEF≦35%を伴う患者はISCHEMIA試験には組み

入れられなかったが,中等度のLVEF低下(35~ 45%)と心不全歴を伴った患者におけるサブ解析では,保存的治療群よりも侵襲的治療群でイベント非発生生存率が良好な傾向にあった90).・ 外科的血行再建に限れば,LVEF≦35%とCADを伴

う患者を登録したSTICH試験では,CABGによる血行再建はOMTと比較し約5年間の観察期間では利益を示すことができなかった205).しかしながらこの試験のサブグループ解析では,LVEF≦27%の患者ではOMTのみとくらべ血行再建を受けた患者で利益が得られたことを示した.また,観察期間を10年間に延長した研究では,OMTへのCABG追加は,OMTのみと比較して,より低い全死亡率と心血管系関連入院率に関連していた219). 2 CKD

CKDはCAD患者において併存率の高い疾患である.糸球体濾過量(GFR)が60~75 mL/分/1.73 m 2程度から低下するにつれ,CADを発症する可能性は直線的に増加する220).CKDを伴う患者の心血管イベント発生予測に対するリスク層別化は,従来のGFRに基づいた予測モデルにアルブミン尿症を組み合わせたモデルを使用することで改善する可能性がある221).

2.1 診断

CKD患者では機能的負荷試験と非侵襲的画像検査が広く用いられているが,運動負荷と薬理学的負荷による心筋パーフュージョンイメージングは,CKDがない患者にくらべてCADの検出精度が低いことが知られている222-225).造影剤に対する禁忌や合併症のリスクがあることから, CCTAや造影CMRは多くの場合に施行できない.その代わり通常診療において,CKD患者に対しては核医学検査が広く施行されている226, 227).特に,CKD患者における心筋血流SPECT 228)や心筋血流PET 229)は,予後予測の点で価値が高い.

2.2 治療

スタチンを基本とした治療の予後への利益はeGFRが低下するにつれて減弱し,透析患者においては有益なアウトカムのエビデンスはない.(透析患者を含む)進行したCKD患者(透析患者を含む)においては,血行再建に関連する周術期合併症のリスクが高いことや,最近の大規模臨床試験で有益な結果を認めなかったことから,保存的治療が妥当と考えられる8).一方で,CKD患者における心血管イベントの発生率は高いことから,保存的に管理する場合には,これらのイベントを防ぐため,症状や左室機能の変化に注意深いモニタリングが必要である.透析患者に対する侵襲的治療の有効性については,さらなるデータの蓄積が必要である.