p.32 抽出テキスト
治療への0.5 mgのコルヒチンの追加投与が,心血管死またはMIの発生を30%低減することを示した(ハザード比0.71,95%信頼区間0.55~0.92) 199).しかし,統計学的には有意でなかったものの,非心血管死がコルヒチン群で多かった(コルヒチン群0.7件/100人・年,プラセボ群0.5件/100人・年,ハザード比1.51,95% 信頼区間0.99~ 2.31) 199).この領域に関してはさらなる研究が必要である. 2 生活習慣の改善 禁煙,健康な食事,そして運動などを含む生活習慣の改善の遵守は,心血管リスクへの重要な予防効果がある168).診断・リスク層別化のプロセスの過程やOMTの導入過程においても,適切な生活様式を維持することは,安定CAD患者にとって特に重要であるといえる.不安定な虚血,重度で症候性の弁膜疾患,非代償性心不全,あるい はコントロール不良の不整脈に関連した不安定な状態がなければ,定期的な運動は禁忌ではない200).1回30分間,週3回以上,中等度強度の有酸素運動トレーニングを行うことは,すべての安定CAD患者に推奨される15, 168, 201). 安定CAD患者におけるOMTの推奨を表11に示す. 表11 安定CAD におけるOMT の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 侵襲的検査を検討する前に,必要な症状緩和のための薬剤を投与し,高リスクの特徴がなければ保存的治療を続ける5). I B症状の如何に関わらず,心血管イベントを避けるために低用量アスピリンによる抗血栓療法と目標値を目指した脂質低下療法を行う5, 180, 183, 202, 203). I A CAD, coronary artery disease; OMT, optimal medical therapy 高齢,フレイル,進行したCKDおよび心不全などの高リスク因子は,CADの有病率や,心血管イベントの発生リスクを上昇させる要因となるが,臨床試験においてこのような患者の登録は少なく,これまでの大規模臨床試験においては,年齢≧80歳,CKD ステージ≧4(ただしISCHEMIA CKD試験を除く),およびLVEF<30%(ただしSTICH試験を除く)の患者の割合は依然として低い(およそ5%未満) 5, 8, 142, 149, 204-210). 左室機能不全を伴う安定CAD患者の管理については,従来の心不全診療ガイドライン(急性・慢性心不全診療ガイドライン[2017年改訂版] 215),2021年 JCS/JHFS ガイドラインフォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療) 210a)に従って管理されるべきである.左室機能不全を伴う安定CAD患者への血行再建は,左室機能回復もしくは長期生命予後の利益が期待されるか否かについて慎重に考慮したうえで選択されるべきである. 進行したCKDの患者に対しては,(無尿患者の場合を除き)腎機能増悪のリスクおよび低画質の原因となる過度 の冠動脈石灰化の可能性があるため,CCTAの使用は制限されるべきである.スタチンを基本とした脂質低下療法は,透析導入前のCKD患者にのみ優先的に行われる.血行再建に関しては,合併症のリスクが高く,証明されている利益が限定的であるため,多くのCKD患者では保存的治療が合理的と考えられる. 高齢患者においては,症状の評価はしばしば困難であり,また運動負荷テストの施行は非現実的な可能性がある.侵襲的治療の検討は,関連するリスク,フレイル,あるいは余命をふまえて個別化すべきである. 1 心不全,左室機能不全 安定CADは心筋障害と持続的な虚血により,しばしば 第5章 高リスク患者に対する特別な考慮