p.29 抽出テキスト
初期薬物治療 至適薬物療法を続ける 血行再建の有無に関わらず,診断確定後は 安定CAD疑い症状緩和目的 短時間作用型の硝酸薬 症状やPROに基づいて増量(例: シアトル狭心症質問票 ) 治療抵抗性の場合長時間作用型の硝酸薬や(使用可能であれば)ラノラジン を検討 β遮断薬/カルシウム拮抗薬*心血管イベント予防目的 血圧管理 禁煙食事療法運動療法 生活習慣の改善 抗血小板療法- 低用量アスピリンを推奨 ** CAD確定であればスタチンのタイトレーションLDL-Cの目標値:治療開始時の値より50%以上の低下 かつ LDL-C 70 mg/dL未満除外されれば中止長期間のイベントリスクが 高ければ継続考慮 脂質低下療法- 高強度スタチンを推奨 非侵襲的検査 (図4) <4週 <4週 侵襲的冠動脈造影検査を考慮 (図5) ベースラインの検査前確率/臨床的尤度 評価 (図2) * 徐脈や他の禁忌患者に注意が必要 ** 出血リスク評価が必要 図6安定CAD について診断・リスク評価中の患者に対する内科的治療の開始フロー安定CAD疑いの患者を診療する際,初期評価として問診や身体所見などから冠動脈の危険因子を評価する.初期評価において安定CADが否定できない際には非侵襲的検査を行う.非侵襲的検査の結果を待つ前に,全患者で生活習慣の改善を指導する.また,胸痛を訴える患者においては,症状緩和のために,β遮断薬,カルシウム拮抗薬を用いて診断確定前から治療を行う(短時間作用型ニトロ製剤は診断的治療として用いることも考慮する).この際に,血圧・脈拍などの患者背景から薬剤選択を行う.投与後は症状の強さに応じて,適切な時期に抗狭心症薬のタイトレーションを行う.また,診断前確率を考慮したうえで心血管イベント予防として低用量アスピリンおよび高強度スタチンを用いた脂質降下療法を行う.この際,患者と十分に話し合い,確定診断後には薬物療法の見直しが必要である.これらの内科治療は血行再建の有無にかかわらず全例で行うべきである. CAD, coronary artery disease; PRO, patient-reported outcomes 十分にOMTが実践されていない166a, 177).このようなevidence-practiceギャップを埋め,十分なOMTを全安定CAD患者に行うために,本ガイドラインでは診断および,リスク評価のプロセスにおいて以下のOMTを開始することを推奨する(図6). ・ 短時間作用型のニトロ製剤は診断的治療薬として有益で ある.短時間作用型ニトロ製剤が有効であればβ 遮断薬やカルシウム拮抗薬を抗狭心症薬の症状緩和を目的として第一選択として推奨する.・ 心血管イベントの予防として,高強度のスタチンや,ス タチンおよび補完的薬剤を用いることでLDL-Cの50%以上の減少および,最終的なLDL-Cの値を70 mg/dL未満にするよう推奨する.抗血小板薬については2020年JCSガイドライン フォーカスアップデート版冠動脈疾患患者における抗血栓療法172)を参照.・ 患者の状態が不安定でない限り,定期的な運動は禁忌で はない. なお,本ガイドラインにおける安定CADは以下の患者を想定している.下記に当てはまらない,画像検査において狭窄があるが,血行動態的検査で非有意と判断されたような患者や,非閉塞性冠動脈病変,非閉塞性心筋梗塞既往の患者へのOMTの意義は現在研究が進行中である. 1 過去に血行再建を受けた患者 2 冠動脈造影,CCTAなどの画像検査で50%以上の狭窄 がみつかっており,血行動態検査(FFRなど)により有意な狭窄と診断されている 3 Universal definitionで定義される心筋梗塞の既往があ り171),粥状硬化性の冠動脈病変を有する患者