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p.26 抽出テキスト

ない患者を多く含んでいたため,結果が希釈されており,一定以上の心筋虚血が証明された患者への血行再建が良好な予後をもたらすかどうかについては判断できなかった.2019年のESCガイドラインでは10%以上の心筋虚血範囲があるケースでは血行再建が適応となることが示されている15, 91).・ ISCHEMIA試験のMI発生に関する追加解析では,

早期侵襲的治療戦略はOMTを優先する治療戦略と比較し,早期のPCIとCABGに関連した周術期MIを増加させたが,遠隔期の自然発生のMIを低減されたことが示された(なお,全体の死亡率は両群で同等であった).これら2つのタイプのMIの重要性を同様に考えてよいのか否かについて現在も議論が続いているが,ISCHEMIA試験のサブ解析では,自然発生のMIは,周術期MIにくらべてより強く全死亡を含めたその後のアウトカムと関連していた144).・ ISCHEMIA試験における追跡期間中央値3.2年は,血

行再建による効果,特に死亡率に関して評価するには短すぎる可能性がある.実際,ISCHEMIA試験を含めたメタ解析では,待機的冠血行再建が心臓死と自然発生のMIを低減し,追跡期間が長くなるほど大きな効果を呈する可能性を示唆している145).この点を明確化するため,ISCHEMIA試験のより長期の追跡試験(ISCHEMIA-EXTENDED, ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04894877)が進行中である.

2.2 狭心症症状に対する冠血行再建の意義

冠血行再建は患者の狭心症症状とQOLを著明に改善し,その効果は特に狭心症に関連した症状が強い患者とOMTに難治性である患者で明らかである.対照的に,血行再建前にほとんど,もしくはまったく症状のない患者のQOLを改善することは稀である4, 146).

冠血行再建による症状への効果に関する重要な知見・ 狭心症症状はQOLや運動耐容能を低下させ,うつ,

頻回の病院受診,臨床的イベントの増加などと関連する147, 148).ORBITA試験は1枝病変の安定CAD患者において,PCIによる血行再建の運動耐容能(運動時間の延長)の改善効果をshamコントロール群におけるプラセボ手技と比較した149).6週間後の運動耐容能において両群間で有意差がみられなかったことから, PCIによるプラセボ効果が運動耐容能改善に寄与している可能性が想定されると報告している149).

・ ISCHEMIA試験ではSAQを用いたQOLの解析がな

されており,冠血行再建は患者の症状の明らかな改善に寄与することを示した4).また,早期侵襲的戦略群では,狭心症症状がない状態が3年間以上にわたり高率に維持された.ORBITA試験でも狭心症のない状態への到達率はPCI群のほうが有意に高く150),両試験の結果に本質的な差異はないものと考えられる.・ 前述のFFRガイド下PCIの有効性をOMTと比較した

FAME 2試験の5年追跡の結果は,PCIがQOLを改善し,抗狭心症薬の使用を低減したことを示した95).・ COURAGE試験は血行再建によるQOL改善(すなわ

ち狭心症の緩和)を示したが,保存的治療群との明白な差は血行再建の約2年後には減弱していた151).この理由は明らかではないが,COURAGE試験では心筋虚血を欠く症例が含まれていること,ほとんどの患者がベアメタルステントによるPCIを受けていたことが関係した可能性が考えられる.

2.2.1 共同意思決定(shared decision making: SDM) に基づく冠血行再建の適応とタイミング

安定CADが生活習慣の改善を含めたOMTで治療されていれば,早期の血行再建が心血管アウトカムを改善させる可能性は低いため,冠血行再建の最適なタイミングは必ずしも緊急的ではない.ただし実臨床では,OMTの遂行がしばしば困難な状況があることに注意が必要である.血行再建は,OMTのみ,あるいはOMTに血行再建を追加した場合に想定されるリスクとベネフィット,すなわち自然発生MIの可能性と周術期MIの可能性,必要となる抗狭心症薬の量と数,または症状・死亡率に関する効果,さらに,血行再建が適用される場合は最適な血行再建法に関する議論を通じて,患者とともに十分に検討されるべきである146, 152).

2.2.2 LMCA病変患者と多枝病変患者

LMCA病変や多枝病変を有する患者の血行再建については,安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)

5a)の通りで,今回アップデートはない.これらの患者については,各施設のハートチームによってどのように血行再建するか事前に議論されていることが望ましい.使用可能であれば,FFR-CTの施行は虚血範囲と虚血を起こしうる血管の関係を明らかにすることで,ハートチームカンファレンスに役立つ可能性がある.