p.25 抽出テキスト
との同等性が報告されているが120, 121),予後予測能に関するエビデンスはない.・ iFR≦0.89は血行再建を考慮する際に妥当な閾値であ ると考えられている118, 119, 122, 123).すべての使用可能なNHPRsはおおむね同様の値を呈するため,iFR以外のNHPRsでも同様に閾値0.89を用いることは妥当と考えられている120, 124, 125).・ 最近の研究によって個々のクリニカルシナリオ,たと えばLMCA狭窄の評価,多枝冠動脈病変やCABG術前評価において,NHPRsの使用が可能であることを支持するデータが蓄積されてきている126-128).・ 上記の閾値を使うとFFRとNHPRsに不一致が10~ 20%でみられるが124, 129-133),不一致のあるケースの予後は一般的に良好であったと報告されている124, 130, 132, 133). 総合的なFFRとNHPRsの推奨を表9に示す.冠動脈内圧測定法の選択は医師の判断にゆだねられる. 表9安定CAD における冠動脈中等度狭窄に対する血管内 圧測定(FFR/NHPRs*)の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 心筋虚血の原因となりうる冠動脈狭窄の同定123, 134, 135),および心血管イベント低減を目的としたPCI 適応の決定95-97, 118, 119) に用いる. I A非侵襲的画像検査で証明された心筋虚血が侵襲的冠動脈造影で評価された解剖学的所見と一致しない場合に測定を考慮する3). IIa B CABG 術前の最適なグラフト吻合部を決定するために測定を考慮してもよい99, 102). IIb B非侵襲的画像検査で証明された心筋虚血が解剖学的な冠動脈狭窄と一致している場合は施行するべきではない.** III No benefit C *NHPRs(iFR,RFR,DFRおよびdPRなど)のうち,iFRのみ大規模臨床試験でFFRと同等の効果が証明されている118, 119). **タンデム病変(tandem lesions)に対してはFFR/NHPRsはステント留置の標的血管の同定とステント長の最適化に有用である136-138). CABG, coronary artery bypass grafting; FFR, fractional flow reserve; NHPRs, hyperemic pressure ratios; PCI, percutaneous coronary intervention 2 冠血行再建の適応 冠血行再建の目的は1狭心症症状の改善と2心血管イベント発生リスクの低減である.ISCHEMIA試験は, OMTとくらべた早期血行再建戦略の心血管イベントに関する中期的な予後に対するベネフィットを証明し得なかった5).ISCHEMIA試験の登録患者と本邦のレジストリーに登録された患者のベースラインの特徴は類似しており,その結果は日本人の患者にも適用できる可能性が高い139). しかしながら,早期侵襲的治療戦略はISCHEMIA試験やISCHEMIA-CKDの採用基準に満たなかった患者に対しては予後的なベネフィットをもたらす可能性がある.また,SAQ など患者報告アウトカム(patient-reported outcome: PRO)で評価される強い胸部不快感を呈する安定CADは,冠血行再建によって明らかな症状改善が得られることが報告されている5).臨床医は,日常生活に支障をきたす胸部症状を呈する安定CAD患者には情報を提示し,十分に話し合ったうえで共同意思決定(shared decision making: SDM)を行うべきである. 2.1 心血管イベントに対する冠血行再建の インパクト ISCHEMIA試験を含めた最近の知見に基づけば,安定CADにおいてOMTと比較した血行再建による心血管アウトカムの改善は,重度の心筋虚血が確認された患者においてさえもなお明白ではない.虚血所見が全く存在しない病変への冠血行再建は,心血管イベントを減少させないどころか患者の状態を悪くさせる恐れもある107).そのため,非侵襲的画像検査や患者報告アウトカム(patient-reported outcome: PRO)の評価を通じて,血行再建からベネフィットが得られる可能性がある患者を適切に同定することが重要である. 冠血行再建による予後への効果に関する重要な知見・ Hachamovitchらの後ろ向き研究は,広い範囲の心筋 虚血(左室心筋の>10%)を有する患者において,血行再建が心臓死のリスク低減と関連していることを示唆した38, 140).・ 安静時および負荷SPECTを経時的に受けた314例が 参加したCOURAGE試験のnuclear substudyでは, OMT単独群と比較しPCI+OMT群で虚血心筋の範囲が大きく縮小したことが報告された.治療戦略如何に関わらず,≧5%の虚血範囲の縮小は死亡およびMIの低減と関連した141).・ COURAGE試験では,OMTに対しPCIによる血行再 建の追加によって,予後改善が得られなかった142, 143).しかしながら,COURAGE試験は有意な心筋虚血の