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p.17 抽出テキスト

第2章 非侵襲的画像検査の選択

検査前確率・臨床的尤度シーケンスと利用可能な画像検査診断法に基づいたアルゴリズム

近年実施されてきた大規模なRCTの結果やそのプロトコルに基づき,非侵襲的検査としては解剖学的あるいは機能的評価のいずれかを行うことが推奨される.なお,その際には前述の検査前確率(pre-test probability: PTP)・臨床的尤度(clinical likelihood: CL)と患者背景に基づいて検査法を選択することが強く推奨される(系統的に患者のベースラインの評価を行った後に非侵襲的な検査を実施する).そのうえで,施設ごとの事情やフローを鑑みて最終的な検査方法を選択する.

PTPが中等度とされる患者に対しては,CADの存在を除外することを主目的として,CCTAが実施されるようになってきている.ただし,冠動脈CTは高度石灰化(冠動脈カルシウムスコア>1,000)やコントロール不良の高心拍数や心拍不整,また腎機能障害の患者には適さないことには注意を要する.そして,CCTAで冠動脈狭窄が疑われた場合には,機能的検査として核医学を含む負荷イメージング,あるいはFFR-CTによる機能的検査が追加検査として検討される.

他方,PTPが高いとされる患者や既知のCAD患者においては,診断よりもリスク評価が非侵襲的検査の主目的となることから,心筋パーフュージョンイメージング(MPI)などの負荷イメージングが選択可能である.こうしたケースでは,診断プロセスと同時進行で,イベント予防および症状緩和を目的としてOMTの開始・調整を進める必要がある(第4章参照).また,左主幹部(LMCA)/LMCA相当の病変(LMCA equivalent disease)を示唆する所見を伴う患者では,心血管イベント発生が十分予想されるため,侵襲的冠動脈造影に直接進むことも合理的であると考えらえる.

1 非侵襲的画像検査

ベースラインの患者背景と初期評価からCADのPTPやCLが推定され,さらに患者報告アウトカム(patientreported outcome: PRO)の評価によって,具体的にCADによる症状がQOLに及ぼしている影響が明確になる(第1

章参照).CCTAやMPIなどの非侵襲的画像検査は,少なくとも中等度以上のPTPを伴う患者において,診断やリスクをより明確にするために行われるべきである38-42).本節では,まず近年のCCTAやMPIに関する診断精度および予後に関する報告を概説し,安定CADを評価するためのPTP・CLシーケンスと各施設で使用可能な診断法に基づいた診断の段階的フローを示す.

1.1 解剖学的非侵襲的画像検査(CCTA)

CCTAは高い陰性的中率をもって閉塞性CADを除外できることから,狭心症に合致する症状を呈し,かつCAD既往がない低~中等度リスクの患者における有用な診断法および予後予測能のある画像検査として注目されている15, 43).

非盲検,12施設,6ヵ国での観察研究であるCoronary Computed Tomographic Angiography and Risk of All- Cause Mortality (CONFIRM) registry では,CCTA でCADがないと判定された患者は,近位部の>50%狭窄(≧ 1枝)を有していた患者と比較し,予後良好であったと報告されている44).CCTAはまた,LMCA狭窄の検出においても妥当な予測能を有している44a).実際,ISCHEMIA試験では無作為化の前にCCTAを必須とするプロトコルを設定していたため,LMCA病変と非閉塞性CADの患者は除外された5).

CCTAに関する近年の知見・ 冠動脈プラーク沈着の程度についての評価能が高いこ

とはCCTAの重要な利点であり,CCTAで評価されたプラーク形態と将来のACS発症の関連が示されている40, 45-47).またCCTAを使用することで,積極的な二次予防が行われることも報告されている48).・ Scottish Computed Tomography of the HEART (SCOT-HEART)試験は,CCTAガイド下の患者管理が,従来のCCTAを用いない管理方法と比較して,患