p.16 抽出テキスト
尤度比 検査前確率( % )検査後確率( % ) 0.1 0.2 0.3 0.5 0.7 1 2 3 5 7 10 20 30 40 50 60 70 80 90 93 95 97 98 99 99.3 99.5 99.7 99.8 99.9 0.1 0.2 0.3 0.5 0.7 1 2 3 5 7 10 20 30 40 50 60 70 80 90 93 95 97 98 1000 500 200 100 50 20 10 5 2 1 0.5 0.2 0.1 0.05 0.02 0.01 0.005 0.002 0.001 99 99.3 99.5 99.7 99.8 99.9 図3 Fagan ノモグラムBayes理論を用いたFaganのノモグラムによる検査後確率の統計学的な予測方法25, 26).たとえば感度85%,特異度95%である画像検査をベースラインのPTP15%の患者に施行する場合,検査後確率としてCADを有している可能性は,CCTAの結果が陽性(狭窄あり)であれば75%(➡),陰性(狭窄なし)であれば3%(➡)である.もし,この患者の修正PTPが35%に上がれば,CCTAの結果が陽性のときは>90%の検査後確率でCADが存在すると推測される(➡). (渡邉一平. 2021 24a)より) 臨床的尤度(clinical likelihood: CL)は臨床現場でも容易に算出可能であり25, 26),Diamond-Forresterモデルで定義されたオリジナルの検査前確率(pre-test probability: PTP)の“修飾因子”として働く.この診断的アプローチはダイナミックであり,PTPは新たな情報を加えることで段階的に改善されていく. 1. CAD疑いの患者に脂質異常症,高血圧,心電図異常が あればCADのCLが上昇し,「修正PTP」が「PTP」よりも高くなる.一方で,ベースラインのPTPが同じであっても,古典的な冠動脈危険因子や基本的検査の異常所見がない場合,修正PTPは低くなる.このようにさまざまな臨床情報による重みづけを行い,PTPを修正していく. 2. 実臨床ではベースラインのPTPが5~15%の患者が多 く,上記のようにPTPを(多くは下方)修正しなければ,偽陽性例が増えることになり,診断的画像検査の過剰な施行および医療費の増大が危惧される. 3. PTPの統計学的な予測方法を,Bayes理論を用いた Faganのノモグラム25, 26)で説明する(図3) 24a).たとえば感度85%,特異度95%(すなわち陽性尤度比17,陰性尤度比0.16)であるCCTAをベースラインのPTP15%の患者に施行する場合,検査後確率としてCADを有している可能性は,CCTAの結果が陽性(狭窄あり)であれば75%,陰性(狭窄なし)であれば3%である.もし,この患者に(高血圧や糖尿病のような)陽性のCLの因子があり,修正PTPが35%に上がれば,CCTAの結果が陽性のときは>90%の検査後確率でCADが存在すると推測される. 【付記】 臨床的尤度(CL)を用いた検査前確率(PTP)の修正