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p.14 抽出テキスト

reported outcome: PRO)とよぶ.このPROは安定CAD患者の初期評価において,ますます重要視されてきている.臨床現場では,しばしば安定CADが生活の質(quality of life: QOL)に与える影響を過小評価される傾向にあるが, PROを取り入れることは,症状のコントロール,QOLおよび予後の改善と関連することが報告されている28).

2.1 シアトル狭心症質問票 (Seattle Angina Questionnaire)

狭心症患者を対象とした自己記入式の質問票により構成されるSeattle Angina Questionnaire(SAQ)はPROのひとつの疾患特異的な形式であり,その使用がCAD患者で有効であることが確認されている.質問には,狭心症発作頻度,治療満足度,および身体的制限などいくつかのドメインが含まれている29).

SAQの実際の使い方のTips・ たとえば,狭心症発作頻度は100点満点で評価され,

100点は狭心症発作がないこと,0点は1日4回の発作に相当する.同様に狭心症による身体的制限に関しても100点満点で評価され,100点は身体的制限がないこと,0点は高度の身体的制限を表す.・ ISCHEMIA試験では,SAQの経時的評価が行われ

た4).(観察初期は早期保存的治療群の方がより狭心症症状が顕著であったが)観察期間が経つにつれて次第に早期侵襲的治療群と早期保存的治療群のSAQの差がなくなっていく.さらに,この現象は特にベースラインのSAQが高い場合に明らかであることが確認された.このような知見から,血行再建のベネフィットはベースラインのSAQが低い(狭心症の症状が強い)患者に限定されることが示唆された.

2.2 患者報告アウトカム(PRO)の 初期評価および定期的評価

患者報告アウトカム(patient-reported outcome: PRO)は,ベースラインの評価によりCAD患者の予後改善を目的とした最適な治療を導く役割があり,また,患者と医療従事者の共同意思決定(shared decision making: SDM)にとって不可欠な要素である.さらに,SAQは狭心症症状を起こしうる最小労作の程度と相関しており30),初期のPROの評価はACSに近い病態の患者や,以降の検査や治療適応のない患者(例:高度のフレイル)の同定にも有用である.また,経過観察中に定期的なSAQを行うことで,選

択した治療の効果や,追加の非侵襲的検査および侵襲的冠動脈造影の必要性を評価することが可能である.経過観察中に運動閾値の低下,狭心症発作頻度の増加,あるいは身体活動制限の進行などPROの増悪を認めた場合は,血行再建のベネフィットを考慮し,非侵襲的画像検査を含めた検査を追加することで,より意義深いSDMが可能になる.

3 ACSに近い病態(Near-ACS) の判断/不安定狭心症との鑑別

狭心症は,増悪や改善,もしくは何年にもわたり不変といったさまざまな経過をたどりうる.狭心症発作頻度の増加,誘因なしの発作,より重症の発作,あるいはより長い発作時間などの症状の増悪には特に注意が必要である.このような症状は冠動脈病変自体の進行や微小血管障害の増悪を反映していることがある.とはいえ臨床現場で(特に高リスクの)安定CADの患者をフォローアップし,ACSに近い(near-ACS)病態を効率的に同定することは困難な課題である.実際,最近報告された外来通院患者の観察研究であるCLARIFYレジストリーは安定CADの患者の臨床経過が多岐に渡ることを示している31).

CLARIFYレジストリーの要約・ 32,691例の安定CAD患者の狭心症症状,薬剤,侵襲

的冠動脈治療,および臨床経過を前向きに観察・ ベースラインで狭心症症状のある7,212例のうち,

39.6%の患者は侵襲的治療を受けずに1年以内に症状が消失し,その後も年々症状の消失が確認された.・ 一方で4.5%の患者が冠血行再建を要した.・ 薬剤治療による狭心症コントロールでは46.9%の患者

で1剤以上の抗狭心症薬追加を要した.・ ベースラインで狭心症症状のない25,479例からは,年

間2.0~4.8%の割合で狭心症の症状が発生した.・ 追跡終了時,3.9%の患者に狭心症症状が認められ,

期間中に3.3%が心筋梗塞発生または緊急血行再建を要し,さらに3.9%が待機的血行再建を要した.

最近の研究では,安定CADと低リスクの不安定狭心症の両者が大きくオーバーラップしていることも示唆されている.たとえば,低リスクの患者における新規発症の狭心症が安静によって自然寛解し,その後安定した状態を維持することになれば,その状態は不安定狭心症から安定CADに再分類される.その後は安定CADの診断および管