p.13 抽出テキスト
ベースラインの検査前確率評価 5% 15% 85% '臨床的尤度’を加味した修正検査前確率 典型的狭心症, 非典型的狭心症, 非狭心症性胸痛, 呼吸困難 年齢, 性別, 胸痛性状 年齢, 性別, 胸痛性状 経過観察リスク評価のため運動負荷心電図または冠動脈カルシウムスコア測定を考慮可非侵襲的検査 (図4)冠危険因子と併存症 心エコーおよび血液検査左室機能や腎機能評価を含む フィードバック 検査後確率 図2安定CAD における検査前確率(PTP)・臨床的尤度(CL)の評価の役割修正PTPの評価は,2019年ESCモデルを用いたベースラインのPTPに加え,CLを組み込むことで行われる.中等度または高PTPであれば,主に非侵襲的画像検査を用いた検査を検討する.修正PTP<5%(例:若年女性,典型的狭心症症状なし,冠動脈リスクなし,基本的検査の異常なし)であれば,さらなる非侵襲的検査を行わなくてもよい(もしくはリスク評価目的に選択的に負荷心電図や冠動脈カルシウムスキャンは検討される).対照的に,中等度または高PTP(例:65歳男性,複数の冠動脈危険因子あり,心電図で異常Q波あり)であれば,(ACSを示唆する所見がない限り)非侵襲的画像検査が勧められる.診断精度および非侵襲的画像検査の結果は検査後確率の推定に用いられ,侵襲的検査で得られる“真”の結果をフィードバックすることで,修正PTPモデルの予測能改善が得られる. (渡邉一平. 2021 24a)より改変) 的冠動脈造影が検討されるであろう. 侵襲的冠動脈造影は精度の高い診断モダリティではあるものの,検査閾値(検査の妥当性を支持する最低ライン)は侵襲による合併症リスクを加味して高く設定されるべきである.現実には,多くの安定CAD疑いの患者に対しては非侵襲検査,特に非侵襲的画像検査が次の診断過程として第一選択となる. 具体的に症例ベースで考えてみる.たとえば非典型的胸痛を呈する若年の女性は,ESCモデルでは,PTPがおよそ3%と算出される15).もしCAD既往がなければ(すなわちCLの構成要素が陰性であれば)修正PTPはさらに下がり27),必ずしも非侵襲的画像検査の追加は必要ではなくなる(もしくはリスク評価目的で選択的に負荷心電図や冠動脈カルシウム[coronary artery calcium: CAC]スキャンの施行を考慮することも可能).対照的に,典型的な狭心症を呈する65歳の男性に対しては,PTPはおよそ44%と考えられ15),特に脂質異常症など陽性のCLの要素が存在する場合は次の非侵襲的画像検査に進み,さらなる診断過程を計画することが望ましい.このようにベースラインの中等 度の有病率の患者に対してPTPとCLを連続的に評価することで,低または高修正PTPへと再分類できることがあり,次の非侵襲的検査それぞれの診断能の特徴を活かした運用が可能となる11). 以上をまとめると,現代の安定CADの初期診断戦略は, (1)ベースラインのPTPの算出,(2)個々のCLを加味した修正PTPの確立,および(3)修正PTPに基づいた最適な非侵襲的検査の選択から成り,これらを意識的に実践することが極めて重要であるといえる. 2 患者報告アウトカム(PRO) 患者が自らの健康状態と治療に関してどのように感じ,また自分自身がどう取り組んでいるかについて,患者本人から直接得らえる報告内容を患者報告アウトカム(patient-