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p.85 抽出テキスト

小板薬中止群,O:心血管イベントでRCT が必要である.

A 背景,この問題の優先度

近年の超高齢化社会を反映して,大動脈弁狭窄症(AS)の有病率が増加している.75 歳以上の12% に中等度以上の大動脈弁狭窄症があると報告され374, 472),非心臓手術患者にAS が合併することも十分ありうる.

非周術期では,一般論として,症候性重症AS は死亡リスクが高いため,大動脈弁置換術(AVR)が推奨されている19).しかし,無症候性の重症AS 症例に関しては推奨が分かれる.非心臓手術を控えている場合,AVR と本来予定されていた手術のどちらを優先させるかという問題が生じる.AVR を優先すると,非心臓手術延期による原疾患(例:癌など)への影響を吟味する必要が生じる.症候性AS であれば,AVR 延期となると,それに伴うリスクもある.さらに,AVR 自体に死亡や合併症リスクがある.一方,近年は侵襲度の低い経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)も行われ,手術延期期間は短縮できる可能性がある.他方,非心臓手術の侵襲度も低くなり,麻酔技術の向上によって,無症候性重症AS は周術期の死亡リスクを増加させないという報告も散見される381,382).

このように,1重症AS 合併が非心臓手術のリスク増大

CQ 4重症大動脈弁狭窄症を合併した患者の非心臓

手術前に大動脈弁置換術(AVR)(外科的弁置換術(SAVR)または経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI))を施行することは推奨されるか?

重症大動脈弁狭窄症を合併していても,無症候性ならば,予防的にSAVR, TAVI を行わず,非心臓手術をすることを提案する(GRADE 2D)(推奨の強さ「弱い推奨」/エビデンスの確実性「非常に低」).付帯事項症候性の重症大動脈弁狭窄症や,無症候性でも左室駆出率低下例の場合,通常であれば(非周術期)AVR(SAVR, TAVI)の適応である.この場合,非心臓周術期に関して画一的な推奨作成は困難である.ときにバルーン形成術も選択肢になる.大動脈弁への介入,非心臓手術のそれぞれの適応,順番については関係する多専門科集学的チームが包括的に吟味し,患者の価値観を理解し,患者と協働意思決定をすることが重要である.

推奨につながるのか,あるいは2術前の重症AS に対する

TAVI,SAVR はそのリスクを考慮に入れたとしても周術期アウトカムを改善するのかを吟味し,推奨を作成することは重要であり,優先度は高い. B エビデンスの要約B.1 CQ 重症AS を合併した患者の非心臓手術前にAVR を施行することは推奨されるか?

これを直接検討した研究がないため,以下の2 つのKey question(KQ)を作成した. KQ4-1 重症AS は非心臓手術の周術期リスクを増加させるか? PICO またはPECO

P:非心臓手術患者,E:重症AS がある,C:重症ASがないKQ4-2 重症AS 患者において,AVR(TAVI,SAVR)施行後は未施行と比較し非心臓手術のリスクが低下するか? PICO またはPECO

P:重症AS 合併した非心臓手術患者,E:AVR 施行後(過去のAVR 施行も含む),C:AVR 既往なし

O:アウトカムとして,パネル会議にて以下を承認した.益:30 日死亡(アウトカムの重大性:9,以下同),心臓死(9),急性心筋梗塞(8),急性心不全(7),1 年死亡(8),心臓死(8),急性心筋梗塞(7),急性心不全(7),

害:1 年後ADL(9),出血(7),手術延期日数(7)と認定した.

1 年後ADL を選択した理由は,術前にAVR をしたうえで非心臓手術を受けた際,2 つの手術を受けることになり,身体機能低下が問題になる可能性を考慮したためである.出血に関しては,AVR を施行すると,抗血栓薬を服用する必要があり,周術期にそれを継続すると出血のリスク,中断すると血栓症リスクが懸念されたためである. B.2 KQ4-1 とKQ4-2 のメタ解析

システマティック・レビューにて,KQ4-1(重症AS は非心臓手術の周術期のリスクになるか)に関して,5 つの後ろ向き観察研究378-380, 383, 384)があり,メタ解析を行った. KQ4-2 に関しては2 つの後ろ向き観察研究が存在し,Luis

2020 386)は傾向スコア・マッチングを行い,Taniguchi

2020 385)は背景因子の調整がされていないため,それぞれ

のデータを紹介し,メタ解析を行わなかった.採用研究KQ4-1:Raymer 1998 383),Calleja 2010 378),Agarwal

2013 379),Tashiro 2014 380),Maclntyer 2018 384)

KQ4-2:Luis 2020 386),Taniguchi 2020 385) C 益と害のバランス

パネル会議にて,AS は無症候性と症候性ではリスクが