p.75 抽出テキスト
RR 2.0(95%CI 0.70-5.70),絶対リスク差3.5% 多(1.1% 少- 16.5% 多)と血行再建でリスクが高い傾向にあったが,有意差なしであった.周術期急性心筋梗塞発症率は血行再建により低下しない. C.1.3 遠隔期死亡率(図16 24, 252)) 1 つのRCT 24),1 つの観察研究252)で検討した.RCT (510 例)では,追跡期間中央値2.8 年で,非血行再建群 vs血行再建群で27% vs 27.1%(95%CI 20.5-36.2%),RR 1.02(95%CI 0.77-1.36)で差がなく,観察研究(296 例)でも20.8% vs 23.7%(95%CI 15.0-37.4%), RR 1.14(95%CI 0.72-1.80),絶対差2.9% 多(5.8% 少-16.6% 多)と有意な差がなかった.術前の血行再建群で長期死亡率は低下しない. なお,それぞれのForest plot の下の表は,RCT のバイアスリスクと非直接性の評価,観察研究のバイアスリスク,グレードを上げる要因,非直接性の評価を示す.また,バイアスリスクのA-P の説明は表61を参照. C.1.4 望ましい効果のまとめ 非心臓手術前に血行再建しても,望ましい効果はないと判断した. C.2 望ましくない効果 検討するアウトカムとして,周術期出血合併症(アウトカムの重大性:8,以下同),コスト(7),入院期間(7),血行再建に伴う手術延期期間(7)が挙げられた.これらに関する研究はシステマティック・レビューではみつからなかった. 望ましくない効果の追加的考察 血行再建に伴う手術延期期間:非心臓手術延期に関しては,CQ2 で,PCI をすると待機手術ならば1 ~1.5 ヵ月は最低限延期することが推奨されている.CARP 試験では,血行再建群の41% でCABG,59% でPCI が施行された.非血行再建群に比べて非心臓手術は36 日延期された24).非心臓手術術前に血行再建群 vs 非血行再建群で3.9% (10/258 例) vs 0.40%(1/252 例)が死亡した24).血行再建自体のリスク,手術延期リスクは吟味すべき重要事項ということを意味する. 結論として,望ましくない効果は「小~中」程度存在すると判断した. C.3 益と害のバランス 冠動脈疾患があると周術期リスクは増加するが,血行再建しても,死亡率や急性心筋梗塞発症率は低下しなかった.血行再建による非心臓手術延期で生じる原疾患悪化のリスク,血行再建自体のリスクを考えると,安定型冠動脈疾患患者では,手術リスクを低下させるための予防的血行再建は益がなく(予防効果がなく),害が上回るとパネル会議では判断した. D エビデンス総体の確実性 RCT,観察研究ともに術前の予防的血行再建の利益が示されなかった.RCT は1 つしかなく,エビデンスの確実性を1 つ下げてB とした.すべてのアウトカムはRCT と RCT 血行再建ありがよい←· →血行再建なしがよい 観察研究個別研究バイアスリスク非直接性研究コードA B C D E F G H I J K L McFalls 2004 0 0 –1 0 0 0 –1 –1 0 0 0 –1 個別研究バイアスリスクグレードを上げる要因非直接性研究コードA B C D E F G H I J K L M N O P Felix 2016 –1 –1 0 0 –1 0 –1 0 0 0 0 –2 0 0 0 –2 血行再建ありがよい←· →血行再建なしがよい バイアスリスクA-P はCQ1 の表61 を参照図16安定型冠動脈疾患患者での非心臓手術前の冠血行再建の有無による遠隔期死亡の比較(McFalls EO, et al. 2004 24), Felix R, et al. 2016 252) より作成)