GL検索 v0.1.0
画像は 52 ページを描画したものです
page 52

p.52 抽出テキスト

える.

これらをふまえ,本診療ガイドラインでは手術・処置の当該科・麻酔科と相談し,抗血小板薬が継続できるようであればアスピリンの継続下で実施,休薬が必要であれば休薬期間を極力短くすることを推奨する(推奨クラスI,エビデンスレベルB,表44).

4.2.3 冠動脈ステント留置患者へのヘパリン置換

冠動脈ステント留置後の患者が手術に際して抗血小板薬の休薬が必要になった際に,わが国では慣習的にヘパリン置換を実施してきた.

Tanaka らは,DES 留置後ヘパリン置換を施行した210例で,ST を含めた心血管イベントは生じず,出血のための

再手術が4 例(1.9%)と報告している299)が,少数例でコントロールがなく解釈が難しい.

術前のヘパリン使用がステント血栓症の予測因子であり,心血管イベントのOR が3.22 という報告もある275).またヘパリン使用が心血管イベント低減に寄与せず,有意ではないが出血を増やす傾向(OR 1.52,95%CI 0.81-2.87)という報告もある276).加えて,低分子ヘパリンによる置換例251 例と非置換例264 例を後ろ向きに比較検討した論文では,ヘパリン置換は心血管イベントのOR 10.7 (p=0.001),出血性イベントのOR 1.86(p=0.017)と有害である可能性が示唆されている300).

表43 非心臓手術・処置の出血リスク

出血リスク低中高

一般外科領域ヘルニア形成術,瘢痕ヘルニア形成外科手術,胆嚢摘出術,虫垂・結腸切除術,胃・小腸部分切除術,乳房手術,体表手術(膿瘍切開,皮膚小切開手術)痔核切除術,脾臓摘出術,胃切除術,肥満手術, 直腸切除術,甲状腺切除術肝切除術,膵頭十二指腸切除術

血管外科領域頸動脈内膜剥離術,下肢動脈バイパス術,下肢動脈内剥離術,胸部・腹部ステントグラフト内挿術 (TEVAR・EVAR),四肢切断術開腹による腹部大動脈手術開胸による胸部・胸腹部手術

整形外科領域手の手術,肩・膝の関節鏡人工肩関節手術,膝手術(前十字靭帯,骨切り術),足の手術 ,高齢者の大腿骨近位部骨折主要な人工関節手術(股関節,膝関節),主要な外傷手術(骨盤,長骨),脊椎手術

泌尿器科領域膀胱鏡,尿管カテーテル,尿管鏡前立腺生検,精巣摘除術,包皮環状切除術根治的腎摘除,腎部分切除,経皮的腎瘻増設術, 経皮的砕石術,膀胱切除術,根治的前立腺切除術, 経尿道的前立腺切除術(TURP),経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT),陰茎切除術,部分精巣摘除術胸部外科領域肺楔状切除術,診断目的の胸腔鏡,胸壁切除術肺葉切除術,肺全摘術,縦隔鏡検査,胸骨切開, 縦隔腫瘤切除術食道切除術,胸膜肺切除術,肺剥皮術

消化管内視鏡上部消化管内視鏡,下部消化管内視鏡,生検を伴わない超音波内視鏡,カプセル内視鏡,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP),内視鏡的粘膜生検(超音波内視鏡下穿刺吸引術を除く),バルーン内視鏡,マーキング(クリップ,高周波,点墨など),消化管・膵管・胆管ステント留置法(事前の切開手技を伴わない),内視鏡的乳頭バルーン拡張術ポリペクトミー(ポリープ切除術),充実性病変に対する超音波内視鏡下穿刺吸引術,内視鏡的消化管拡張術,内視鏡的粘膜焼灼術,経皮内視鏡的胃瘻造設術,内視鏡的食道・胃静脈瘤治療アカラシアにおける内視鏡的消化管拡張術,内視鏡的粘膜切除術,内視鏡的粘膜下層剥離術,内視鏡的乳頭括約筋切開術,膵嚢胞病変に対する超音波内視鏡下穿刺吸引術

その他歯科処置(抜歯,歯周外科手術,膿瘍切開,インプラント挿入),白内障手術,気管支鏡など気管支生検,経気管支的針吸引など脊椎または硬膜外麻酔,腰椎穿刺,脊髄手術,頭蓋内手術,後眼房手術など整形外科領域に関しては,文献212 のSupplementary prifile(米国整形外科学会の手術ごとの出血リスク)を参考に,脊椎手術を高リスク,高齢者の大腿骨近位部骨折を中リスクに再分類した(2020 年JCS ガイドラインフォーカスアップデート版  冠動脈疾患患者における抗血栓療法.2020

210)より改変)