p.49 抽出テキスト
ンも改訂されている210).このようにPCI 手技・デバイス・周辺の薬物療法の変化もあることをふまえて,本診療ガイドラインでは2008 年以降の報告をもとに検討した235-240, 261-283). 3.1 PCI 歴のある患者の非心臓手術時の リスク 3.1.1 PCI を実施した患者が非心臓手術を必要とする 割合 海外でPCI 後2 ~3 年で12 ~25% 236, 261, 262, 284, 285),日本では3 年で14 ~22% 263, 264)と報告されており,日常臨床でよく遭遇する状況である.PCI 後1 年以内に手術が必要となる年齢のカットオフは62 歳とする報告285)があり,高齢者にPCI を実施する場合には,身体所見や各種検査所見に早期手術の必要性を示唆する所見がないか留意する必要がある. 3.1.2 PCI 歴のある患者の非心臓手術時のリスク PCI 後の患者と年齢・性別・手術の種類をマッチさせた虚血性心臓病のない患者をコントロールとした後ろ向き研究では,手術後30 日で心臓死が1.1% vs 0.2%(オッズ比[OR] 5.87),心筋梗塞が1.5% vs 0.2%(OR 4.82)と,PCI後の患者でリスクが高いことが判明した265).他にも,冠動脈にステントが留置されている患者と留置歴のない患者を手術の種類・患者背景をマッチさせて比較したところ,術後30 日での心血管イベント(死亡・心筋梗塞・血行再建)がステント留置患者で高いこと(5.7% vs 3.6%) 266),術後30 日の心血管イベント(死亡・心筋梗塞・心停止・脳卒中)がステント留置患者で高いこと(3.7% vs 1.5%) 267)が報告されている. PCI 歴のある患者の周術期リスクをまとめると,主要心血管イベント(MACE)は0.2 ~13.7%,ST は0 ~2.6%, 出血イベントは0.2 ~32% と報告されている. ESC/ESA ガイドライン2014 7)では,想定される術後30日での心血管イベント(心血管死亡+心筋梗塞)を1% 未満,1 ~5%,5% 超と3 群に分け手術の種類を低リスク・中等度リスク・高リスクと分類している.実臨床で薬剤溶出性ステント(DES)留置後のイベント発生率を,この分類によって調査したところ,低リスク手術で0.6%,中等度リスクで1.2%,高リスクで3.4% であったとの報告があり283),この分類はDES 留置後の周術期イベント予測にもあてはめられることが示唆されている. 3.2 デバイスの種類と周術期リスク BMS とDES で差がないという報告が圧倒的に多い236, 237, 239, 264, 266, 269-272)が,1st DES のほうがBMS よりMACE が少ないという報告もある268).1st DES と2nd DES では差がないと報告されている265). ST に関しては,一般的に2nd DES が少なく,1st DESがBMS より多いと考えられ,歴史的には周術期もBMSが1st DES より有利と考えられた時期があった.一方,周術期心血管イベントは,デバイスに差がないという報告が多い.これは周術期MI がST だけではなく,新規病変によるもの,冠血流の需要・供給バランス不均衡からくるもの,など多彩なメカニズムがあるためと考えられる248, 267). 薬剤コーティングバルーン(DCB)や方向性冠動脈粥腫切除術(DCA)などステント以外のデバイス使用後の非心臓手術時のアウトカムに関するまとまった報告はない. しかし,BMS,1st DES,2nd DES で差がなかった報告が多いことから,デバイスによる差はない可能性が高い.他方,デバイスや患者・病変背景によるDAPT 期間の差は存在し,この点も各診療ガイドラインによるアップデートが続いている. DAPT を継続した場合の周術期出血イベントは増加する273, 286, 287).DAPT 継続下での実施が難しい手術は, DAPT が必要な期間が終了するまで延期したほうがよいと考えられる(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB,表42). 3.3 PCI 実施後の手術のタイミング これに関する29 報の文献中2 報282, 283)以外は,PCI と手術実施日の間隔が開いたほうが周術期のアウトカムがよいという報告となっている235-240, 261-281).間隔の設定にばらつきがあるが,PCI 後1 ~1.5 ヵ月以内に手術を実施した際のMACE は11 ~43% と高く,オッズ比は2.3 ~11.5 表41 安定冠動脈疾患患者の非心臓手術術前の血行再建に 関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 非心臓手術を受ける患者で安定冠動脈疾患を有する場合,原則,術前に手術リスク軽減目的の予防的血行再建を行うべきではないIII Harm B血行再建がClass I 適応の病変を有する場合,血行再建を非心臓手術前に施行するかどうかについては,外科,内科,麻酔科などの集学的チームで協議し,患者と協働意思決定をするI C