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p.45 抽出テキスト

非心臓手術の緊急性,虚血性イベントリスク,出血性イベントリスク,抗血小板薬休薬の是非などに応じて,待機的非心臓手術の施行時期を検討する必要がある.悪性腫瘍など,原疾患によっては長期間手術を延期できないため,個別に検討することが重要である.

1.3 ACS 後の患者に対する血行再建と 非心臓手術の周術期合併症

1.3.1 術後の心筋梗塞リスクについて

MI 発症1 ヵ月以内に非心臓手術を行った患者では,周術期MI の発症率は非血行再建群と比し,ステント留置群で高率になり,CABG 群で低率であった(図7) 240).

1.3.2 術後の死亡率について

MI 発症2 ヵ月以降に非心臓手術を行った例では,ステント留置群,CABG 群ともに,非血行再建群に比し30 日死亡率が低率であった(図8) 240) .

1.3.3 完全血行再建と周術期リスク

一般的に,ACS 後は完全血行再建を行うことが望ましいとされる242).非心臓手術を行う2 年以内にPCI 歴がある12,486 例を検討した登録研究では,主要心血管イベント(周術期MI,血行再建,死亡)は完全血行再建群でやや少なかった(完全血行再建群4.3%,非完全血行再建群5.0%; オッズ比1.19(95%CI 1.00-1.41),p =0.05).特に, PCI 後6 週間以内に非心臓手術を行う場合,残存病変が多いほど周術期MI が多かったが,30 日死亡率は同等であった243).ACS 既往がある患者が非心臓手術を受ける際,残存病変があるとリスクが高いと言えるが,術前完全血行再建でそのリスクが低下するかを検証した前向き試験はな

い.

ACS 後の非心臓手術に関する推奨とエビデンスレベルを表38 に示す.

2 非心臓手術前の冠動脈血行再建

2.1 周術期急性心筋梗塞の機序

2018 年に提案されたESC/ACCF/AHA/WHF の4th Universal Definition によると,MI はそのメカニズムによって5 つに分類されている(表39) 244).手術など侵襲的な手技によって発症するMI のメカニズムとしては,炎症性サイトカインやカテコラミンの増加によるプラークの不安定化や血管へのシェアストレスの増加245)で生じるプ

(%)

50 40

30 20

10 0 MI 後 1 ヵ月以内 MI 後 2~3 ヵ月 MI 後 4~6 ヵ月 MI 後 7~12 ヵ月 MI 後 13~36 ヵ月

*

*

* ** **** ****

*:p<0.05,**:<0.01(vs 血行再建なし)

血行再建なしStent CABG

32.6 44.8

21.6 15.4 13.3 6.8 6.5 5.5 3.4 7.4 3.7 2.5 5.8 3.4 2.4

図7 心筋梗塞(MI)イベントから非心臓手術までの期間と

血行再建別の術後30 日MI 発症率の関係(Livhits M, et al. 2011 240)を参考に作図) (%)

50 40

30 20

10 0 *:p<0.05,**:<0.01(vs 血行再建なし)

血行再建なしStent CABG

**** *** **** **** * MI 後1 ヵ月以内MI 後2~3 ヵ月MI 後4~6 ヵ月MI 後7~12 ヵ月MI 後13~36 ヵ月

15.6 11.4 6.8 12.8 6.8 6.4 11.3 7.1 6.0 10.2 5.0 3.4 10.2 4.2 4.8

図8 心筋梗塞(MI)イベントから非心臓手術までの期間と

血行再建別の術後30 日死亡率の関係(Livhits M, et al. 2011 240)を参考に作図)

表38 急性冠症候群(ACS)後の非心臓手術に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

待機的非心臓手術については,ACS 発症から1 ヵ月以内は回避する

* I C

非心臓手術を予定していた患者がACS を発症した場合,緊急で血行再建を行うI C非心臓手術を予定していた患者がACS を発症した場合,非心臓手術までに完全血行再建を行うことを考慮してもよいIIb B * その後の延期期間については,第4 章3 PCI 歴のある患者の非心

臓手術のタイミングを参照