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p.44 抽出テキスト

全手術待機手術

40 30

20 10

0 32.8

30 日以内31~60 日61~90 日91~180 日術前1 年以内に

MI 既往なし30 日以内31~60 日61~90 日91~180 日術前1 年以内に

MI 既往なし

27.2 18.7 17.8

8.4 6.4 5.9 5.3 1.4 14.2 12.9 11.5 9.3 10.5 9.7 9.9 8.3 3.9

(%)

MI 後MI 後

第4章 循環器疾患別周術期マネージメント

1 急性冠症候群

1.1 急性冠症候群(ACS)後患者における 非心臓手術の疫学

ACS 後30 日以内の死亡の多くは心臓死であるが,それ以後は死因の2/3 を非心臓疾患が占めており,長期予後は非心臓疾患に規定されるところが大きい233).非心臓疾患の発症に伴って,ACS 発症後慢性期に外科手術を要する症例は少なくない.わが国のST 上昇型心筋梗塞(MI)後患者3,942 例の検討によると,1 ヵ月以内に4.2%,6 ヵ月で8.4%,1 年で11.6% の症例がCABG 以外の心臓手術か非心臓手術を受けており,年齢とともにその頻度が増加していた234).

1.2 ACS 後の待機的非心臓手術の施行時期 (タイミング)と周術期心血管合併症

5 つの非心臓手術(股関節手術,大腸切除術,胆嚢切除術,待機的腹部大動脈瘤修復術,下肢切断術)を受けた患者563,842 例の後ろ向き解析によると,1 年以内に心筋梗塞(MI)の既往がある患者では,血行再建施行の有無を

問わず,既往がない患者よりも術後30 日以内のMI,死亡,術後1 年死亡の発生率は高かったが,MI から非心臓手術までの期間が長くなるほどいずれも低下していた.特にMI 発症から1 ヵ月以内に非心臓手術を行うと,血行再建施行の有無に関わらず,周術期MI や死亡が多かった(図6) 235).

MI から非心臓手術までの期間については,MI 直後が最もリスクが高く,その後次第に低下し,6 ヵ月で最も低くなった後にリスクが増大するという報告236),同様に直後最もリスクが高く,次第に減少し,3 ヵ月でほぼプラトーになる報告237),42 日以内は42 日超と比較してリスクが高いという報告238), 30 日以内が最もリスクが高く,次第に減少し3 ヵ月以降はほぼプラトーになるという報告239, 240)がある.総じて,MI 後1 ヵ月以内は特に周術期心血管リスクが高く,さらに3 ~6 ヵ月と時間が経過するにつれ術後の心血管リスクは低下することは共通している.参考までに,代表的な研究データを図6 ~8 に示す235, 240).

日本循環器学会の2020 年フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法では,「ACS にPCI を行った患者については非心臓手術を6 ヵ月以降に延期することが妥当」としている210).ESC/EACTS 冠動脈疾患への抗血小板薬併用治療(DAPT)に関するガイドライン2017 では,「MI 後でDAPT が必要な場合,待機手術であればMI後6 ヵ月まで延期を考慮する(Class IIb)」としている241) .

図6 心筋梗塞(MI)イベントから非心臓手術までの期間と術後30 日以内のMI 発症率,死亡率との関係(Livhits M, et al. 2011 235)を参考に作図)

術後30 日MI術後30 日死亡