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3 抗血栓薬と区域麻酔(脊髄くも膜 下麻酔・硬膜外麻酔・末梢神経ブ ロック)時の注意点(表37)

3.1 脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔時の 注意点

抗血栓療法(抗血小板薬,抗凝固薬)を受けている患者に脊髄くも膜下麻酔または硬膜外麻酔を行うときに注意しなければならない合併症は,脊髄付近に形成される血腫による神経障害である232).カテーテル挿入を伴うことが多い硬膜外麻酔と比べて,脊髄くも膜下麻酔の血腫の合併症は非常に少ないと考えられている.その実施には,アスピリンを含むNSAIDs は禁忌ではないが,症例によっては休薬が必要であり,症例ごとの検討が必要とされる232).

3.2 カテーテル留置を伴う硬膜外麻酔と 抗血栓薬

「抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン」によると,カテーテル挿入を伴うことが多い硬膜外麻酔については,硬膜外血腫による神経障害リスクを考慮する必要がある232).抗凝固療法中の患者では,一定の休薬期間を置くことが推奨されている232).抗血小板薬については, NSAIDs には制限なし,チクロピジン,クロピドグレルは一定期間の休薬期間が必要とある.しかし,アスピリンが単剤投与されている場合,硬膜外麻酔の実施については禁忌ではなく,症例ごとに検討する232).また,硬膜外カテーテルを挿入した後,抗血栓薬の投与が必要な場合,再開には一定期間を置き,硬膜外カテーテルを抜去するときにも注意が必要である232).抗血栓薬を中止せずに硬膜外カテーテルを抜去した場合,硬膜外血腫発生の危険が高くなるため,カテーテル抜去前に一定期間の抗血栓薬の休薬を必要

とする場合がある232).

このように,硬膜外カテーテル留置する場合の抗血栓薬については,1留置前のその継続・中断,2留置後のその再開の可否・タイミング,3抜去時の中断・再開のタイミングについて検討が必要であり,麻酔科医と協議する.

3.3 ハーブ類の注意点

抗血栓薬以外にも,ニンニク,ノコギリヤシ,イチョウ,朝鮮ニンジンなどのハーブ類は血小板凝集阻害を生じることがある.そのため,出血性素因や血小板数低下時に患者の脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔を実施する場合,術前にこれらのハーブ類の中止を考慮する.

3.4 末梢神経ブロック

深部の末梢神経ブロック前は抗血栓薬の休薬が望ましいが,体表面の末梢神経ブロックは抗血栓薬継続が可能である.抗血栓薬の中断が困難である場合,特に下腹部から下肢の手術では,脊髄くも膜下麻酔にこだわることなく,全身麻酔と体表面の末梢神経ブロックを組み合わせることにより,抗血栓薬を中止することなくまたは比較的短期間の中止で,脊髄くも膜下麻酔と同等かそれ以上の質の高い周術期管理を提供できるため,麻酔科医を含めて検討すべきである.

表37 区域麻酔が考慮される際の抗血栓薬に関する推奨と

エビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

抗血栓薬服用中の患者が非心臓手術を行う際,区域麻酔が考慮される場合,抗血栓薬の継続・中断について,麻酔科医を含む集学的チームにて協議するI C