p.34 抽出テキスト
Step 1 Step 2 Step 3 Step 4 Step 5手術へ まずは,循環器緊急症の安定化に努める.非心臓手術前に侵襲的治療をするかは,個別に「検討すべきこと」について多専門科集学的チームで包括的吟味をする. 手術自体のリスク評価低リスク手術中リスク以上の非血管手術血管手術 RCRI を用いた周術期イベントリスク評価 DASI スコアなどで運動耐容能評価* 7METs (DASI 34 点) 以上4METs (DASI 10 点) 以上4METs 未満,不明 手術へ手術へ 術前心臓検査の適応,マネージメントなどにつき 包括的に検討 yes no 推奨クラスIIa推奨クラスIIb 緊急手術 循環器緊急症 no yes *運動耐容能の代替案として,BNP またはNT-pro BNP の測定を考慮してもよい(推奨クラスIIb).BNP 92 pg/mL 未満,NT-pro BNP 300 pg/mL未満で低リスク群と分類できるRCRI: revised cardiac risk index,DASI: Duke Activity Severity Index 「検討すべきこと」1 循環器疾患の緊急度(重症度,症状) 2 非心臓手術の緊急度(いつまで延期できるか) 3 非心臓手術のリスク4 心臓への侵襲的介入のリスク(STS score,EuroSCORE II,JapanSCORE) 5 心臓への侵襲的治療後,抗血栓薬が 必要な場合,周術期のその継続,中止による出血,血栓症リスク 急性冠症候群重症不整脈急性心不全症候性弁膜症 0 〜1 項目低リスク群2 項目以上上昇リスク群1 項目以上上昇リスク群0 項目低リスク群 図4 非心臓手術術前の循環器評価アルゴリズムもよい(推奨クラスIIb).4 METs 未満または不明のときは, 術前心臓検査の適応,マネージメントなどについて包括的に検討する.他の選択肢として,BNP またはNT-pro BNP値の測定を考慮してもよい(推奨クラスIIb).BNP 92 pg/ mL 未満, NT-pro BNP 300 pg/mL 未満で低リスク群と分類できる. Step 1 非心臓手術の緊急度早急に手術しなければ,生命の危険があるなどの緊急手術ならば,可及的速やかに手術となる.その場合,循環器的な精査ができないことが多い.時間の許すかぎり病歴,身体所見,ECG など基本的検査で循環器緊急症の合併の有無の把握に努める.ただし,非心臓手術の開始を遅延させてはいけない.緊急手術でなければStep 2 へ. Step 2 循環器緊急症のチェック循環器緊急症としては急性冠症候群,重症不整脈,急性心不全,症候性弁膜症が考えられる.これらの有無を,通常どおり病歴,身体所見で疑えば,必要に応じ精査する.診断すれば安定化を図る.心疾患への介入は,薬物治療,侵襲的介入(冠動脈血行再建(PCI, CABG),弁置換術など)もありうるが,侵襲的治療を非心臓手術前に施行するかどうかは,個別の吟味が必要である.循環器緊急症がなければStep 3 へ. Step 3 手術自体のリスク低リスク手術(第2 章2 表10 参照)ならば手術へ.中リスク以上の手術はStep 4 へ. Step 4 周術期心血管イベントリスク予測RCRI で推定する.低リスク群(非血管手術: 0 項目ないし1 項目,血管手術:RCRI 0 項目)なら手術へ.上昇リスク群(非血管手術: RCRI 2 項目以上,血管手術RCRI 1 項目以上)ならStep 5 へ. 低リスクの定義:心血管イベントリスク5%未満(急性心筋梗塞の診断にトロポニンを用いた場合).上昇リスクの定義:心血管イベントリスク5% 以上. Step 5 運動耐容能評価またはBNP 値, NT-pro BNP 値の測定上昇リスク群は,運動耐容能をDASI スコアなどを用いて客観的に評価し,7 METs 以上(DASI スコア34 点以上)ならば,さらなる心臓検査をせず手術をすることを考慮する(推奨クラスIIa).4 METs 以上(DASI スコア10 点以上)ならば,さらなる心臓検査をせず手術をすることを考慮して