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実施するために,適応があるケースには術前TTE を行うことが望まれる. 一方で,心エコー図検査を施行することで必要な手術が遅れることが報告されており93),そのようなことがないようにも留意しなければならない.今後術式の変更,術後管理などに視点を置いたエンドポイントを設定した大規模なRCT が行われことが望まれる. 6 周術期リスクスコア 非心臓手術の周術期心血管合併症を予測するためのさまざまなスコアリングシステムが開発されている.その目的は,1患者基本情報からスコアを算出し,周術期心血管イベントを予測すること,2低リスク症例を同定することにより不要な術前検査を回避することである.代表的なスコアリングシステムを解説する. 6.1 Revised Cardiac Risk Index(RCRI) (表16) 94) RCRI は最も広く用いられているスコアリングシステムである.オリジナルの研究では,0,1 項目であれば,周術期心血管イベント率は0.4%,0.9% であり,低リスクとされた.3 項目となると周術期心血管イベント発生率6.6%で高リスクとされた94).この研究で検討されている心血管イベントの内訳は急性心筋梗塞(CK,CK-MB に基づく診断),心不全,心室細動・心停止,完全房室ブロックである. RCRI は数多くの追跡研究が行われている.メタ解析で,非心臓手術の周術期(主に入院中または術後30 日)主要心イベント予測能は,AUC 0.75(95%CI 0.72-0.79),2 項目以上を陽性とした場合の感度65%,特異度76%,陽性尤度比2.78,陰性尤度比0.45 と妥当性が高いことが示され ている95).近年,インド96),フィリピン97) から,RCRI の予測精度が高かったと報告されており,さまざまな人種における妥当性が示されている.一方,血管手術に関しては, AUC が0.64(0.61-0.68)とやや妥当性が低下した95). RCRI の研究で,CK ではなく高感度トロポニンに基づく心筋梗塞の診断を行っている研究を網羅的に検索した(Supplementary profile 1, 2) 96, 98-115).その結果をもとに計算したRCRI の該当項目数とイベント率を非血管手術と血管手術に分けて示す(表17) 96, 102-104, 106-108, 110, 111, 113-115). 6.2 ACS NSQIP MICA risk prediction rule 116) ACS NSQIP のデータベースをもとに作成されたスコアリングシステムである.統計式によって算出されるため専用のカリキュレーターが必要となる(http://www. surgicalriskcalculator.com/miorcardiacarrest).年齢,クレアチニン値,身体機能評価,手術部位を入力することで,周術期心筋梗塞・心停止の発症頻度を予測できる.急性心筋梗塞の診断はトロポニンベースである116).妥当性が検証されているが,いずれも単施設,後ろ向きである117, 118).わが国での妥当性の検討がなされていない点に注意が必要である. 表16 Revised Cardiac Risk Index(RCRI) 虚血性心疾患(急性心筋梗塞の既往,運動負荷試験陽性,虚血によると考えられる胸痛の存在,亜硝酸薬の使用,異常Q 波)心不全の既往脳血管障害(一過性脳虚血,脳梗塞)の既往インスリンが必要な糖尿病腎機能障害(Cre >2 mg/dL)高リスク手術(腹腔内手術,胸腔内手術,鼠径部より上の血管手術) (Lee TH, et al. 1999 94)より作表)表17 Revised Cardiac Risk Index(RCRI)項目数別院 内または30 日心血管イベント発生率(a)非血管手術 RCRI院内または30 日心血管イベント率(95% CI) 0 0.91%(0.70-1.2%) 1 2.9%(2.5-3.4%) 2 7.2%(6.0-8.6%) ≧3 13.7%(10.7-17.4%) (b)血管手術 RCRI院内または30 日心血管イベント率(95% CI) 0 3.2%(2.7-3.7%) 1 7.7%(6.9-8.5%) 2 11.9%(10.6-13.4%) ≧3 19.0%(16.6-21.6%)文献96, 102-104, 106-108, 110, 111, 113-115 よりRCRI を計算.アウトカム項目が研究によりばらつきがあるため目安の数値である(文献96, 102-104, 106-108, 110, 111, 113-115 より作表)