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と,血行再建群のほうが数値上はリスクが増加していた.図3 のパターン2 である. 非周術期であれば,循環器疾患に対する侵襲的治療の適応がクラスI であっても,周術期ではその介入のリスク,非心臓手術延期リスクが高いと,場合によってはリスクを十分説明したうえで,選択肢2(心臓への介入をせずに非心臓手術を行う)を選択するほうがよい場合もある.さらに,どちらも非常にリスクが高いなら,選択肢3(どちらの介入も行わない)となることもある. 繰り返しとなるが,医学情報を患者と十分に共有し,患者の価値観を取り入れた患者との協働意思決定,意思決定支援が重要である(図2). 6 周術期緩和ケアの重要性 緩和ケアはQOL を改善することを目的とした治療で,ペインの治療,アドバンス・ケア・プラニングなどのコミュニケーション,ケアのコーディネーションなどのアプローチからなる26).周術期でも緩和ケア的介入により死亡率が低下し,QOL が改善し,コミュニケーションの質が改善するという報告もある27, 28). 周術期合併症(心血管合併症,非心血管合併症)により,死亡のみならず,術後,合併症で長期集中治療が必要になったり,機能予後が低下したりすることがある.機能低下,高度の介助が必要な状態になり,QOL が低下するリスクが高い状態をSerious illness(深刻な病)とされている29, 30).手術により高度障害に陥ることがあり,そのリスクがあるSerious illness を表6 に示す31).高齢者は,周術期リスクは高く32, 33),術後,身体機能が低下しやすく, ADL が依存的になるリスクが高い34, 35).透析患者もリスクが高い36, 37).表6 に示されるように心不全患者はSerious illness の一つとされるが,実際に周術期合併症は多い31).一方で,フレイルな患者の骨折手術に代表されるように,Serious illness であってもQOL 改善目的の手術のこともある.このように生命予後のみならず,QOL も意思決定に重要な要素である486)(図2). 高リスク患者の周術期(一部の患者は術前から)に緩和ケアコンサルトを行うと,術後死亡しても,家族による終末期ケアの質・コミュニケーション・サポートに対する評価は改善した38).米国老年学会と外科学会の合同で作成された高齢者手術ガイドラインでは,術前に,手術を受ける目的(ケアのゴール),万が一,重篤化したときの事前指示を含む治療プラン,代理意思決定者の選定といったアドバンス・ケア・プランニングをすることが推奨されてい る39, 40).周術期特異的な推奨ではないが,日本循環器学会の急性・慢性心不全診療ガイドライン2017 年改訂版では心不全患者へのアドバンス・ケア・プランニングが推奨されている41).高リスク群における周術期の協働意思決定のためのコミュニケーションツールとしてBest case/worst case model も有効である40, 42).周術期緩和ケアは,日本ではまだ認知されていないが,特に高リスク群には今後,考慮されるケアである. 周術期におけるコミュニケーション,チーム医療に関する推奨とエビデンスレベルを表7 に示す. 表7 周術期におけるコミュニケーション,チーム医療,意 思決定に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 非心臓手術が必要な患者に,侵襲的治療が必要な心疾患が判明した際,マネージメントに関して外科,麻酔科,循環器内科などで包括的に議論し,患者と協働意思決定するI C 表6 外科手術における高リスク患者* 1.ASA リスクスコア:Class IV, V 2 脆弱な高齢者(84 歳以上,64 歳以上で身体機能,認知機能 障害がある) 3 1 年以内に入院歴のある進行がん患者(Stage III,IV の固形 癌,血液腫瘍) 4 酸素療法が必要な肺疾患患者 5 過去6 ヵ月以内に何らの理由で入院,または2 回以上救急外 来を受診した心不全患者 6 Child-Turcotte-Pugh(CTP)Class やModel for End- Stage Liver Disease(MELD)スコアによらず肝硬変の患者 7 透析患者または透析の適応がある末期腎不全患者 8 ADL に介助が必要で過去1 年間に1 回以上入院している認 知症患者 9 フレイルな患者 10 以下の外傷患者A:高度脳障害でAbbreviated Injury Scale(AIS)スコア 3 点以上またはGlasgow Coma Scale スコア3 ~8 点B:重症外傷(Injury Severity スコア>25,かつまたは, 24 時間以上集中治療を要する) 11 長期療養型施設入居者 * 原著では,Serious illness among adult surgical patients:「術後死亡リスクが高く,さらに手術によりADL 機能の低下やQOL 低下,介護者の負担増加のリスクが高い健康状態」で手術だけでなく緩和ケアの恩恵がある患者ASA: American Society of Anesthesia,ADL: activity of daily living (Lee KC, et al. 2019 31) より作表)