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p.17 抽出テキスト

まざまな循環器疾患,非循環器疾患の存在が判明することもあり,注意を要する.周術期の評価中に新たに疾患が診断されたケースでは,その情報をもとにさらなる検査や,臓器専門科へのコンサルトを行う必要が生じることもありうる.服薬歴,生活歴(喫煙,アルコール飲酒),アレルギー歴,身体所見などはルーチンに評価を行う必要がある.また術前評価は,長期予後改善のよいチャンスでもあると捉えることも重要である7).喫煙者であれば,すぐに禁煙により周術期呼吸器合併症を減少させるだけでなく,長期の呼吸器疾患,心血管疾患リスクを減らすことも期待できる.

2.1.3 術前検査

病歴,身体所見は術前のルーチンとして行うが,検査をルーチンで施行すべきかどうかという問題がある.リスクの層別化に役立つか,マネージメントを変えるかという視点やコスト,必要な手術の遅延の可能性を考えることが,術前検査では重要である.本診療ガイドラインでは,12 誘導心電図,経胸壁心エコー図検査,心臓負荷試験に関し「ルーチンには行わない」ことを推奨している.すなわち,病歴,身体所見などで心疾患を疑えば,周術期か否かにかかわらず,必要な検査の施行を考慮する一方,非周術期ならば施行しないのに,術前だからという理由だけでルーチンには行わないという意味である. 2.1.4 包括的術前評価の重要性(表5)

最近の社会の超高齢化を反映し,内科疾患を多数合併した患者の手術症例が増加しているため,病歴,身体所見,必要に応じて施行する検査による包括的アプローチの重要性は増している.

2.1.5 リスクスコアの重要性

最近の術前評価に関する診療ガイドラインや総説では,基本的な病歴,身体所見などから得られた背景情報より「スコア」を概算し,リスク層別化が推奨されている7, 13-15).本診療ガイドラインでもRevised Cardiac Risk Index,the National Surgical Quality Improvement Program Myocardial Infarction and Cardiac Arrest(NSQIP MICA),American College of Surgeons NSQIP(ACS NSQIP)Surgical Risk Calculator を取り上げ,わが国の実状にあわせた推奨を行っている(第2 章6 周術期リスクスコアを参照).

2.2 術前最適化

リスク層別化ののち,手術に向けて,なるべく良好な全身状態になるよう最適化をする.例をあげると,心不全であれば,血行動態の適正化,原疾患の評価,維持治療導入

表5 包括的術前評価の例

手術がどの程度緊急性が高いかを知る(術前評価,全身状態の最適化にどれくらい時間をかけられるかにも関係する):緊急手術,準緊急手術,時間的制約のある手術,待機手術手術リスク評価,そのリスクを軽減する手段:病歴,身体所見で未診断の疾患が判明する可能性がある.術前,術中,術後のそれぞれについて吟味する全員に必要なこと:現病歴,既往歴,服薬歴,アレルギー歴,生活歴(特に,喫煙歴,飲酒歴,違法薬物歴),全身麻酔歴,身体所見,妊娠歴,栄養状態循環器系心不全,冠動脈疾患,弁膜症,不整脈の有無など.β遮断薬,抗血栓薬,スタチン,SGLT2 阻害薬などの循環器薬を服用している場合,周術期での取り扱いの立案を行う.運動耐容能情報,Revised Cardiac Risk Index など呼吸器系禁煙指導.睡眠時無呼吸の有無など.周術期呼吸器リスク(肺炎,無気肺など)軽減のための方策(腹式呼吸,せきの練習,インセンティブ・スパイロメトリーなどの理学療法の適応)腎臓系腎疾患の周術期リスクへの影響,手術の腎機能への影響肝臓系肝硬変評価(Child-Pugh 分類,MELD スコア)神経系脳虚血性疾患の既往.長期服用中の抗血栓薬の周術期の取り扱い糖尿病周術期の血糖コントロール血液系貧血の有無,輸血の必要性,出血傾向内服薬中断したほうがよい,中断しないほうがよい薬の吟味予防1手術部位感染予防予防2感染性心内膜炎予防予防3深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症予防手術リスクが過度に高いとき,外科,麻酔科など関わる集学的専門科チームで代替案の吟味をすることがある