p.100 抽出テキスト
C.4.2 望ましくない効果(「中」) もしAVR を行うと,骨折手術が延期される.手術の延期は,死亡リスク,高度疼痛の期間延長,せん妄,褥瘡,感染症リスクが増加する.身体機能低下,依存的生活リスク上昇と関連する. C.4.3 上記より,高齢者大腿骨近位部骨折患者に対し,術前AVR を行うことは,益が少なく害が大きいと考える.「比較(術前AVR なし)がおそらく優位」と考える. D エビデンス総体の質 後ろ向き観察研究であり,さらに症例数も少なく,エビデンス総体の確実性は「非常に低い(D)」とした. E 患者の価値観 システマティック・レビューでは,「アウトカム」の優先順位に対する価値観の論文は,存在しなかった.追加的考察 高齢者大腿骨骨折後,25% の人は歩けるようにならず,生活が依存的になり,施設入所する人も多い485).オーストラリアでのシナリオ・ベースの研究で,大腿骨骨折によりADL が依存的になるとQOL が悪いと評価し,80% の人は死亡よりもつらいと評価した486).価値観に関しては重大なばらつきは少ないと判断した. F コスト システマティック・レビューでは患者視点の費用対効果分析の研究を特定することはできなかった.個人が支払うAVR の入院費用例はCQ4 を参照. G 容認性 リサーチエビデンスはない.追加的考察として,パネル会議では,1高齢者骨折患者は高度の疼痛を訴える患者が多く,骨折手術より優先してAVR を行うことの容認性は低い,と考えた.2特に無症候性AS の場合は,AVRへの容認性は低いと推測した.3認知症の患者も多く,その場合,家族が代理意思決定者になることがあるが,疼痛,機能予後を考え,術前にAVR することへの家族の容認性は低いと考えた.4外科医,麻酔科にとってはAVR を行い,AS の手術への影響の懸念が払拭されたほうが容認性は上がる可能性がある,と推察された.術前AVR をする容認性は,患者,家族は「低い」,医師は「さまざま」と判断した. H 実行可能性 AVR,TAVI は専門施設が必要である.一方,AVR なし バイアスリスクA-P はCQ1 の表61 を参照図31大腿骨頸部/ 転子部骨折手術の周術期における重症大動脈弁狭窄症の有無による急性心不全の比較(Leibowitz D, et al. 2009 482), Rostago C, et al. 2019 483) より作成) 個別研究バイアスリスクグレードを上げる要因非直接性研究コードA B C D E F G H I J K L M N O P Leibowitz 2009 –1 0 0 0 –1 0 –1 0 0 0 0 –1 0 0 0 –1 Rostagno 2019 –2 0 0 0 –2 0 –2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 重症AS がリスクにならない←· →重症AS がリスクになる 大動脈弁狭窄症のリスク 大動脈弁狭窄症のリスク(年齢調整) 重症AS がリスクにならない←· →重症AS がリスクになる 個別研究バイアスリスクグレードを上げる要因非直接性研究コードA B C D E F G H I J K L M N O P Leibowitz 2009 –1 0 0 0 –1 0 –1 0 0 0 0 –1 0 0 0 –1