p.99 抽出テキスト
およびIgG4関連大動周囲炎,血管型ベーチェット病も鑑別に上がる. 4 治療・予後 患者数が限られており,RCT(randomized controlled trial)がほとんどなされていないためエビデンスレベルは低いが,治療に関しては従来の副腎皮質ステロイドの他に,免疫学的製剤や生物学的製剤の治療効果が明らかになってきており,その使用方法について検討されてきている.予後に関してはFrench Takayasu networkによる症例集積など905),徐々にではあるが明らかになりつつある. 4.1 内科的治療 高安動脈炎のコホート解析においては,副腎皮質ステロイドが第一選択であり続けてきた. 早期に副腎皮質ステロイド治療を行うことで,臓器障害を生じる前に疾患をコントロールすることが可能になった946).ただしステロイドを減量する過程で,寛解状態を維持するために免疫抑制薬を追加使用しなくてはならないことも多かった.昨今はヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体(トリシズマブ)がその安全性と効果の高さで,内科的治療ストラテジーの一角に入ってきた.現在保険適用となっているプレドニゾロン,アザチオプリン,シクロホスファミド,トシリズマブ,抗血小板薬を中心に記載する. 4.1.1 副腎皮質ステロイド 疾患活動性の血管炎の存在を示唆する1全身炎症症状, 2ESR亢進,3血管虚血症状,4血管画像所見の4項目のうち2 つ以上が新出または増悪した場合(Kerrの基準) 946)にステロイド治療を検討する.この報告ではステロイド単独での有効率は約50%であった946).パルス療法は緊急度の高い場合,もしくは難治再発症例を中心に1 gもしくは15 mg/kg×3日で行われる. ステロイドへの反応は良好であるが,減量時に再燃が生じることが問題となる.減量のスピードが再燃と関連するとの報告があり929),減量は注意深くゆっくりと行うのがよいとされる.最低限の維持量は5~10 mgと考えられ,可能であれば離脱を試みる922).また,HLA-B*52陽性例はステロイド抵抗性を示すとの報告があり913, 947),ステロイド治療前にHLAタイピングを行うことが望ましいとの意見もある. 4.1.2 臓器不全に対する治療 高安動脈炎で臓器灌流動脈の閉塞性病変が完成すると,血流不全による臓器障害が問題となる.とくに心不全と脳梗塞は患者の予後の規定因子となっており,その発症予防および発症後の管理が重要となる.虚血性イベントを発症した群と非発症群を比較した観察研究で,抗血小板薬は虚血予防の因子として抽出された報告がある947).そのほか高安動脈炎に対する明確な有効性のエビデンスはないが,抗凝固薬としてワルファリンが投与されることもある948). 高血圧は異型大動脈縮窄症や腎動脈狭窄が原因となっている場合が4分の3を占め,外科的治療が適応となることが多い946).障害血管のコンプライアンス低下や圧受容体の機能障害が原因と考えられる場合は,降圧薬でコントロールせざるをえない. 4.1.3 難治例に対する治療 ステロイドの単独投与では,長期では70%以上で再発をきたすことが知られている949).ステロイド抵抗性や減量が困難な患者,ステロイド合併症が生じた患者などにはステロイドと併用して,免疫抑制薬および生物学的製剤の投与を検討する950). a. 免疫抑制剤 ステロイドと併用されてきた免疫抑制薬はメトトレキサートやアザチオプリンであり,メトトレキサートが無効であった場合などにも使用されていた929, 949, 951, 952).またシクロホスファミドは古くから用いられ重症度の高いものに使用される傾向がある952, 953). b. 生物学的製剤 高安動脈炎に対する生物学的製剤の有効性は,近年多くのデータが示されてきている.高安動脈炎では患者血清中のIL-6濃度が活動性と相関しているというデータがあるなか954, 955),トシリズマブはわが国発のヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体であり,その効果が期待されてきた956, 957). わが国ではRCTが行われている(TAKT study) 900).ステロイドで症状寛解をえた患者をリクルートし,トシリズマブ群とプラセボ群にランダム割り付けしたもので,プラセボ群に対するハザード比は0.41(95%CI 0.15~1.10, P =0.0596)でぎりぎり有意性は示すことはできなかったが,トシリズマブで死亡や深刻な感染はなく,安全性は担保されているとしている.さらにTAKT studyを完遂した患者にトシリズマブを最大96週まで投与してフォローし