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p.97 抽出テキスト

2.2 動脈硬化症との関連

高安動脈炎は動脈硬化症とは病態が異なっているが,動脈壁の炎症,治療薬(副腎皮質ステロイド)の影響,病態として発生する高血圧などによって動脈硬化が促進される可能性が示唆されている919).

2.3 病理学的特徴

マクロ所見では狭窄性病変が主体であるが,15~30%に拡張性病変や大動脈弁閉鎖不全がみられる907, 920).病変の中心は肺動脈幹を含む主幹部動脈であり,1997年にはわが国から,血管造影をもとにした分類法が提唱された(図17) 921, 922).病変部の内腔面は粗造で,瘢痕期には鉛管状の石灰化を生じる.

初期にはvasa vasorum周囲への単核球浸潤を伴った,外膜への細胞浸潤が見られる.炎症期には肉芽腫性炎症やびまん性増殖炎症を呈し,那須が閉塞性増殖性幹動脈炎と表現したような多核巨細胞を含む像のほか923),リンパ球や形質細胞も浸潤し多彩な組織像を呈する.瘢痕期には内膜が二次的に肥厚して血管内腔の狭窄や閉塞が生じ,石灰化も出現する.中膜では弾性線維が断裂,変性,消失し,巣状の中膜壊死を伴い“虫食い状”を呈する.外膜は著明な増殖肥厚,線維化を示す.

3 症候と診断

3.1 初期症状

初期の自覚症状は全身の炎症に伴う不定愁訴で,発熱,食欲不振,全身倦怠感,体重減少,関節痛,頭頸部や胸腹部など多彩な部位での疼痛,易疲労感などである899).器質的変化が出現し,虚血や高血圧などによる症状を呈してくるのは進行期になってからである924–926).

3.2 進行期の症状:臓器虚血症状

臨床的には以下の4型に分けることが多い927).加えて,肺動脈病変は8~15%,冠動脈病変は3~10%に認められるとの報告がなされていたが907, 927–929),最近のCTやMRIを用いた検討では,肺動脈病変は50~86%,冠動脈病変は40~50%に認められるとも報告されている930–934).その

ほかに難聴や耳鳴り,結節性紅斑などの皮疹を認めることがある. I型:弓分枝閉塞型(頭部と上肢の虚血症状)

頭部虚血では視力障害,めまい,失神発作といった脳虚血症状が出現する.血行障害が著しい患者では顔面の萎縮(bird face)や鼻中隔穿孔がみられる.頸動脈洞反射が亢進すると,顔を上に向けたときに視力低下や失神発作が生じる.これは,炎症性変化で被刺激状態にある頸動脈洞神経に頸動脈内圧の低下,脳の低酸素状態が加わって生じるものと推定される.この状態の患者は常にうなだれた姿勢をとっているのが特徴である.上肢動脈の閉塞では,脈の欠損や血圧の左右差が出現する.上肢のしびれ,脱力

分類ごとの頻度

分類頻度(%) Type I 28.0 ~ 35.9 Type IIa 9.4 ~ 16.3 Type IIb 8.5 ~ 16.6 Type III 0.9 ~ 7.3 Type IV 1.9 ~ 5.9 Type V 25.8 ~ 43.4

沼野らによる血管造影所見に基づく分類.上記のローマ数字およびアルファベット小文字(I,IIa,IIb,III,IV,V)に,冠動脈病変ありの場合はC(+)を,肺動脈病変ありの場合はP(+)を付する.

I型:大動脈弓分枝血管IIa型:上行大動脈.大動脈弓ならびにその分枝血管IIb型:IIa病変+胸部下行大動脈III型:胸部下行大動脈,腹部大動脈,腎動脈IV型:腹部大動脈,かつ/または,腎動脈V型: IIb+IV型(上行大動脈.大動脈弓ならびにその分枝血管,胸

部下行大動脈に加え,腹部大動脈,かつ/または,腎動脈)

I IIb IV IIa III V

病変部位による分類921)

図17 血管病変の分布による高安動脈炎の分類と頻度(Hate A, et al. 1996 921), 日本循環器学会. 2017 922)より) Copyright (1996), with permission from Elsevier.