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第10章 高安動脈炎 表60 高安動脈炎の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 高安動脈炎が疑われる患者では,CTAやMRA とその断層像で大動脈およびそのすべての分枝と肺動脈の病変の評価を行う896-898). I B活動期には強力な内科的治療を行う.第一選択薬は副腎皮質ステロイドで,難治例には免疫抑制薬,生物学的製剤を用いて疾患をコントロールし,動脈病変の進行を防ぐ899-901). I B内科的治療が主軸であるが,臓器障害あるいは動脈瘤の破裂が危惧される患者には,外科的治療を考慮する.外科的治療は原則として炎症の非活動期に行うことを考慮する899, 902, 903). IIa C炎症の活動期が過ぎても,長期にわたってきめ細かく患者の追跡を行う903-906). I B 1 疾患の概要 高安動脈炎とは,大動脈およびその主要分枝,冠動脈,肺動脈に生ずる非特異性炎症による諸症状を総括したものであり,独立した疾患である.若年女性に多くみられる.地域的にはアジアと南米に多いといった特徴があるため,これまでわが国がこの疾患の研究の中心となってきた.以前は大動脈炎症候群(aortitis syndrome)と呼称されるこ ● 高安動脈炎の症状の発症・再発予防および外科的 治療の予後改善には,炎症のコントロールが重要である. ● 同疾患が疑われる場合には画像評価を中心とした早 期の診断と治療が必須であり,また活動期が過ぎても新規・再発病変の有無を追跡しなくてはならない. ステートメントともあったが,現在は高安動脈炎という病名で統一されて いる907). 2015年までの特定疾患医療受給者証所持者数からは,わが国では現在約7,000例の患者が存在し,新規発症者は150~200例/年と推定される.男女比は平成10(1998)年頃には1:9であったが,最近の新規登録者では男性患者が増え1:5 となっている.新規登録患者の初発年齢は,女性では15~20歳代に大きなピークを認めるものの60歳代まではどの年齢層にも一定の発症者があり,40歳以上の発症が4割を占めている.一方で男性では発症年齢に明らかなピークはなく,若齢から高齢まで発症が認められた899). 2 病因と病態 2.1 血管障害の機序 免疫学的にはT細胞やマクロファージやNK細胞などが主体となった細胞性免疫にサイトカイン異常が加わり,外膜側から動脈壁が傷害されると推定されているが,詳細は未解明である908–911).ある種のタンパク質が自己免疫の標的となるとの報告もある912). また免疫学的異常をきたす最初の引き金として,感染などのストレスが原因となっている可能性があるが,誘因となる病原体は同定されていない. さらに複数の遺伝的要因が複合的に関与していると考えられる.疾患感受性に関連するものとしてHLA-B領域,中でもHLA-B*52やがHLA-B*67知られているほか,その近傍にあるMICAや,最近では非HLA領域にあるIL12BやMLXなどとの関連が報告されている913–917).潰瘍性大腸炎とのあいだに遺伝的類似性(HLA-B*52:01など)を認め,合併することが少なくない918).