p.95 抽出テキスト
2 診断 Duplex体表超音波検査は低侵襲スクリーニング検査として有用である9)が,患者の体型により診断が困難となる.腎機能正常例にはCTA(CT angiography),MRA(magnetic resonance angiography)検査は有用である.臨床症状が疑わしい,または非侵襲検査では確定診断に至らない場合は,血管造影検査が有用である. 3 治療 3.1 治療方針 治療の目的は,腎機能保護と,長期的な心血管合併症の回避である.そのため,動脈硬化性RASの治療は,動脈硬化による脳心血管合併症の軽減が柱となる.狭窄部に対しては,薬物療法のみか血行再建を追加するかが問題となる.経皮[経管]的腎動脈形成術(percutaneous transluminal renal angioplasty: PTRA)に関しては,これまで3つのRCT (CORAL study 882),ASTRAL trial 883),STAR trial 884))が行われたが,腎機能保護においても,心血管合併症や予後の改善でも腎動脈ステントに優位性は見られなかったが,軽度のRAS症例の登録など多くの問題が指摘された.しかし,腎血流が低下している症例のみでRADAR 885)試験が行われたが,PTRAは薬物療法に追加する効果を示せていない.一方,観察研究では腎動脈ステントは有効であり891),一定の重症患者(3剤の降圧剤を使用しても降圧効果が得られない,RASの狭窄度が高度で腎機能低下が著しい,レニン 活性の増加による心不全や肺水腫をおこした既往がある)など限定条件下ではPTRAが考慮される892).バイパス手術は,その侵襲の大きさと薬物療法の進化のため,現在あまり行われていない. 3.2 薬物治療 ACE阻害薬は片側性RASに伴う高血圧治療に有効である.カルシウム拮抗薬とARBは片側性RASに,β遮断薬はRASに伴う高血圧治療に有効である1, 893).両側性RASに対する明確な有効薬ははっきりしないが,ACE阻害薬,ARBは腎機能低下に注意する必要があるが,降圧という点では有効と考えられている. 3.3 PTRA 動脈硬化性RASの治療において,薬物治療のみに比べPTRAが有用であるということは,現時点では証明されていない.無症状の予防的PTRAは自然経過から考えて適応はない.ただ,薬物療法でコントロール困難な高血圧, RASによる心不全の既往,両側RASによる進行性腎機能障害に対してPTRAが考慮される.一方,FMDの治療において,バルーン拡張術の効果は認められている886). 3.4 腎動脈バイパス手術 薬物療法の進化により現在ほとんど手術はされない傾向であるが,腎動脈バイパスの開存率は良好であり894),手術前の高血圧が著明である症例では腎機能の回復が期待される傾向があるという報告もあり,手術のリスクの少ない患者において適応が残る可能性はある895).