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第8章 腹部内臓動脈 1 急性腸間膜動脈閉塞 主な原因は心原性塞栓症,カテーテル操作に伴う塞栓症や動脈血栓症,動脈硬化による慢性狭窄病変による血栓症,急性動脈解離である.腹膜刺激症状が発現する前に,まず激しい腹痛を訴える.腹部膨満,筋性防御などは発症後数時間で認められるようになり腸管穿孔などに起因するショック状態などは日単位の後に陥る. 1.1 診断 表53 急性腸間膜動脈閉塞の診断の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 急性腸間膜動脈閉塞が疑われる症例には緊急CTA を行う856, 857). I B急性腸間膜動脈閉塞が疑われる症例にはD-dimer の測定を考慮する856, 858). IIa B 臍周囲の激しい痛みをほとんどの症例で認めるが,はじめは腹膜刺激症状を認めない.急性腸管虚血に特異的な検 ● 発症時に腹膜刺激症状を伴わない激しい腹痛を呈 し急性腸間膜動脈閉塞を疑われる場合には緊急造影CTを行う. ● 非閉塞性腸管虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia: NOMI)は循環不全状態で生じることが多く,診断には積極的にNOMIを疑うことが必要である. ● 腹腔動脈起始部症候群では虚血以外に膵十二指腸 アーケードの動脈瘤形成に注意する. ステートメント査結果やX線検査所見はないが,メタ解析からD-dimerは 急性腸間膜動脈閉塞症において特異度は低い(40%)が,感度が高い(96%)とされる856).非侵襲的な超音波検査(US)は,腸間膜動脈描出や詳細な評価に高い技術を要する点で汎用性に劣り,必ずしも推奨されない1).造影CT検査は診断に非常に有用で,メタ解析で感度94%特異度95%を示しており857),本疾患が疑われた場合にはthin sliceの造影CT撮像を行う.単純CTにおける腸管虚血所見は腸管血管の動脈硬化所見,動脈内血栓,小腸拡張,腸管壁肥厚,腹水貯留などであり,腸管気腫,門脈ガス像はどちらも発症後期に認められる. 確定診断に引き続いて血管内治療(endovascular therapy: EVT)に移行できるという点から血管撮影が考慮されることもあったが,現在造影CT検査により血管撮影に劣らない画像診断が速やかに得られることに加えて,腸管並びに腹腔内の状況が得られることから血管撮影は診断という点では重要性が低下している45). 1.2 治療 表54 急性腸間膜動脈閉塞の治療の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 血栓症による急性腸間膜動脈閉塞症例にはEVT を血行再建の第一選択として考慮する859-862). IIa B塞栓症による急性腸間膜動脈閉塞症例にはEVT と開腹手術のどちらも治療手段として考慮する859-862). IIa B開腹血行再建後では,腸管虚血の有無を確認するためにsecond look operationを考慮する860-863). IIa C上腸間膜動脈(superior mesenteric artery: SMA)の急性閉塞を生じた場合,塞栓症症例を主として20~30%で血行再建行わず腸切除のみで生存しうるが,それ以外では速やかな血行再建が必要となる.外科的治療として開腹下の血栓除去やバイパス術,血行再建後の腸管虚血評