p.88 抽出テキスト
管25~30%で,四肢の動脈やその他の部位は比較的まれとされている832).症侯は無症候も多いが発症部位や形態により異なり,2次性高血圧症,脳卒中が多い.四肢では腸骨動脈瘤,膝窩動脈瘤,それら病変の血栓閉塞による下肢虚血が出現する.診断は,動脈硬化リスクの少ない若年者の発症で本症を疑い,超音波検査(US),CT(computed tomography),MRA(magnetic resonance angiography),血管造影で特徴的な“string of beads”とよばれる動脈の狭窄と拡張が連続した所見を認めることで診断する(第9章「腎動脈狭窄」を参照). 2.4 脈管奇形を伴う症候群 2.4.1 クリッペル・トレノネー症候群 (Klippel-Trenaunay syndrome) 静脈やリンパ管を主成分とする脈管奇形と患肢肥大,そして毛細血管奇形(紅斑)を3徴とする症候群である.患 肢肥大に伴う整容性の障害のほか,皮膚病変(血性リンパ小嚢胞)による出血,蜂窩織炎,静脈うっ滞症状などを認めるため,治療介入が必要になることが多い. 2.4.2 パークスウェーバー症候群 (Parkes Weber syndrome) クリッペル・トレノネー症候群の類似疾患であるが,構成する脈管奇形病変が動静脈瘻を伴っている.そのため,病状が進行するに従い動静脈奇形に準じたさまざまな症状が生じる.四肢末梢におけるスチール(盗血)現象もしばしば発生し,四肢末端の虚血および壊死を認めることもある.難治性疾患であり,外科的治療やEVTを駆使した集学的治療が必要になる. 第7章 血管損傷 表52 血管損傷の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 深部の血管損傷が疑われる患者には, CTA による評価を行う833-836). I B わが国では交通事故,労働災害,スポーツによる鈍的外傷が多く837, 838),近年では外科手術やEVTに伴う医原性損傷が多くを占める837–843).頻度は少ないが,鍼治療後 ● 血管損傷の原因として交通外傷や労働災害,スポー ツに伴う鈍的損傷,医原性損傷があり,近年では医原性損傷が過半数を占める. ● 動脈損傷に対しての血管内治療(endovascular therapy: EVT)の際にステントグラフト(stent graf: SG)が使用可能となった. ステートメントの仮性瘤の報告もある844). 1 発症機序 1.1 急性血管損傷 鋭的損傷で動脈が断裂すると内膜下の基質が露出し,血小板凝集,フィブリンによる血栓の安定化845),血管攣縮によって止血される.血管攣縮は完全断裂で起こりやすく,不完全断裂では起こりにくい840).鈍的損傷では内膜損傷,内膜弁状剥離,内中膜過伸展断裂,壁内出血,攣縮840)などが起こり損傷部に血小板が凝集して血栓を形成する.