p.83 抽出テキスト
する報告もある199, 208, 540).とくに下肢血管病変の重症度と生命予後との関連性は,その評価方法に依存する可能性もある203, 540). 年齢に関しては,血行再建術を受けたCLTI集団の中では高齢ほど死亡リスクが高いとされるが199, 203–206, 208, 780, 791),同年代の一般集団(国民平均)と比較すると,むしろ若年の患者ほど死亡の相対リスク比が高いことも指摘されており795),若年の患者ほど生命予後改善の余地が残されているとも言える. CLTIに対する血行再建症例を対象に薬剤の死亡リスク軽減効果を示した介入試験はない.服用薬剤と死亡リスクとの関連を検討した観察研究はいくつか報告されているが,一定の見解は得られていない.β遮断薬服用は死亡リスク上昇と,スタチン服用と抗血小板薬服用は死亡リスク低下とそれぞれ関連したとする報告がある一方791),これらの薬剤と生命予後との関連はなかったとする報告もある199, 203, 796).スタチン服用は,CLTI全集団では死亡リスク と関連がなかったが,自立歩行可能例では死亡リスク低下と関連していたとする報告もある797). 4.5.7 無症候性LEADから発症したCLTIの予後 間歇性跛行の既往なくCLTIを発症した症例が,間歇性跛行を経てCLTIを発症した症例と予後が異なるのかについて結論は出ていない.CLTIに対する血行再建症例520名を対象とした検討では,間歇性跛行の既往は3年間の総死亡リスクと再血行再建リスクに有意な関連を示さなかった206, 798).一方,CLTIに対する血行再建例140名を対象とした検討では,平均35±24ヵ月の観察期間中,跛行既往は大切断と有意な関連を認めなかったが,大切断回避生存率と生存率は,跛行既往を有さない群で有意に低く,特に3年目以降で大切断回避生存率の差が開いていた502). 第5章 頸動脈・椎骨動脈 ● 頸動脈狭窄の評価に頸動脈カラードプラ超音波検 査が有用である. ● 狭窄率50%以上の症候性頸動脈狭窄,狭窄率60% 以上の無症候性頸動脈狭窄に対しては,頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy: CEA)の禁忌がない限り頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting: CAS)よりもCEAを選択する. ステートメント1 頸動脈狭窄 1.1 頸動脈狭窄の診断 表48 頸動脈狭窄の診断の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 頸動脈狭窄の診断ならびに狭窄度評価には頸動脈カラードプラ超音波検査を行う799). I B大動脈弓の形態評価,頸動脈分岐部ならびに遠位内頸動脈の評価,頭蓋内Willis 動脈輪の評価にはCTA やMRA を行う799). I B頸動脈狭窄度の表記法はいくつかあるが,ここでは