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p.80 抽出テキスト

DAPT継続が推奨されている.PCIとは異なり,DAPT期間短縮の安全性に関する十分なエビデンスはないため, EVT術後に緊急性を要さない非心臓血管手術を施行する場合は,少なくともこれらの推奨されるDAPT期間が終了するまで手術を延期することが望ましい.治験症例より複雑な背景を持つリアルワールドの患者群においては,より長い(~12ヵ月等)DAPT期間がしばしば選択されている757, 758).これらの患者において,非心臓血管手術のために抗血小板薬を中止する場合には,各専門領域の医師との合議によって症例ごとに,手術の緊急性を考慮して適切な手術の時期,周術期の抗血小板療法について決定する事が望ましい.一般的に,長区間病変757),小血管757),石灰化病変,血栓性病変,SGの留置などは抗血小板薬中止による血栓症リスクが高いと考えられるが,十分なエビデンスはない.今後のエビデンスの蓄積が望まれる領域である.

4.5 血行再建術後の予後と二次予防

本項ではとくに症候性LEADに対する血行再建術後の遠隔期予後について述べる.動脈硬化症LEADの自然予後,血行再建術の周術期リスク,薬物治療,運動療法,創傷管理については,「1. 疫学」,「2. リスクファクター・背景疾患の管理」,「4.2. 間歇性跛行を呈する慢性下肢動脈閉塞」,「4.3. 包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)」を参照のこと.

血行再建術後の患肢の予後は血行再建術の開存成績に左右される.また,LEAD患者は心血管イベント・死亡のリスクが高いことに加え,対側肢に新たに症状が発生するリスクも高い.患者本人や家族にもこうしたリスクを十分に説明しておく必要がある.現時点では,血行再建症例に特化して生命予後改善効果が証明された介入はない.一方,生命予後と関連する術前因子はいくつか同定されており,こうした情報をもとに患者の死亡リスクを術前から把握し,血行再建戦略や術後の管理方針を決定することが重要である.

● 動脈硬化性LEADに対する血行再建術後は,患肢の

再発リスクに加え,対側肢の発症リスク,心血管イベント・死亡リスクにも注意が必要である.

ステートメント4.5.1 間歇性跛行に対する血行再建後の症状再発リスク

間歇性跛行に対する血行再建術後の症状再発リスクは,治療血管の狭窄・閉塞リスクと密接に関連しうる.大腿膝窩動脈領域の血行再建術を受けた間歇性跛行症例218名(2001~2009年のバイパス術症例113例と2005~2009年のEVT症例105例)の後ろ向き検討では765),3年の症状再発率がバイパス術例30%,EVT例64%であり,3年の一次開存喪失(loss of primary patency)率(バイパス術例27%,EVT例58%)と同程度であった.一般に大腿膝窩動脈領域のEVTの一次開存率はバイパス術に劣るものの766),近年デバイスの発達に伴い,高い一次開存率が報告されるようになった.開存率向上に伴い,症状再発リスクも低減していくことが期待される.バイパス術例において,喫煙が一次開存喪失・主要有害下肢事故(MALE)のリスク上昇と関連していることが報告されており767, 768),喫煙者に対する禁煙指導が開存率向上,ひいては症状再発リスク軽減につながる可能性がある.

症状の再発は,治療部位の開存喪失のみならず,新規血管病変の出現でも起こりうる.1990~1998年にEVTを受けた間歇性跛行例271名(腸骨動脈領域208病変・大腿膝窩動脈領域123病変)の後ろ向き検討によると,252名の手技成功例において,標的病変に対する再血行再建術の累積実施率は5年で17.9%,10年で21.0%,15年で22.2%であったのに対し,新規病変に対する血行再建術の累積実施率は5年で9.4%,10年で20.3%,15年で32.3%であった769).血行再建術は症候性病変に適用されることを踏まえると,遠隔期になるほど,標的病変の再狭窄より新規病変の出現により症状が再発するリスクが高くなることが示唆される.

4.5.2 間歇性跛行に対する血行再建後の対側肢の予後

1990~1995年に間歇性跛行に対して血行再建術を施行された150例の検討では,術後2年で38%に対側肢の虚血症状を認め,このうち95%が間歇性跛行で5%がCLTIであったと報告されている770).対側肢に虚血症状が出現するリスクは高く,遠隔期のフォローに際しては患肢のみならず対側肢の観察も重要である.

4.5.3 間歇性跛行に対する血行再建後の 心血管イベント・死亡リスク

わが国の多施設後ろ向き検討では,腸骨大腿動脈領域の血管内治療を受けた2,930名の間歇性跛行症例において, MACEの累積発生率は1年で3.3%,3年で11.4%,5年で22.7%であった771).より長期の報告として,1990~1998