p.78 抽出テキスト
で,治療肢の早期血栓性閉塞防止目的に抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)が投与されることがある.アスピリンとクロピドグレルが一般的に使用されるが,DAPTの種類や投与期間等は,使用されるEVTデバイスや外科手術時のグラフト種類により推奨が異なり,現時点で一定の見解はない. 近年VOYAGER PAD試験において,血行再建(外科的バイパス手術もしくはEVT)後症例に対し,アスピリン単剤に少量のリバーロキサバン(2.5 mg 1日2回)追加投与にて,大出血を増やさずに急性下肢虚血を含む複合アウトカムの発生を低下させたと報告された131).現時点でわが国未承認だが,今後の薬物療法の主軸になる可能性がある. 4.4.1 EVT後抗血栓療法 冠動脈ステント血栓症予防の研究750)を参考に,EVT後の抗血栓療法として治療後一定期間のDAPTが慣例となっているが,十分なエビデンスはない.1DAPTの必要性, 2至適DAPT期間,3経口抗凝固薬内服患者に対する投与,4高出血リスク患者に対する投与,5高血栓リスク患者に対する投与,に関しての検討が必要である.一般的にDAPTとはアスピリンにP2Y12受容体拮抗薬(クロピドグレル)を加えたものを指す.シロスタゾールは含めない. a. PTAやBNS留置後に関して 1~3ヵ月のDAPTが望ましいとされている(各デバイスの臨床試験に基づき[instruction for use: IFU]での規定は異なる).大腿膝窩動脈病変に対して,6ヵ月DAPT群(アスピリン+クロピドグレル)がSAPT群(アスピリン)に比べ有意に1年後のtarget lesion revascularization(TLR)が少ないとの報告がある751).大腿膝窩動脈病変においてシロスタゾールの再狭窄予防効果が報告されており,PTAやBNS留置後には追加が考慮されるべきである475, 752, 753).またCLTI患者の大切断回避に寄与する可能性が報告されており,考慮すべきである670). b. DCB使用後に関して 国内試験結果より,少なくとも1ヵ月以上のDAPTが望ましいとされている754).DCB failureに対してステント追加留置症例においては少なくとも3ヵ月のDAPTとしている. c. DES留置後に関して 国際共同治験結果から2ヵ月(DCS)もしくは3ヵ月(DES)のDAPT投与が望ましいとされている755, 756).DAPT継続群がステント血栓症の発生率が低いとの報告757, 758)もあり,血栓リスクが高い患者群に対しては,より長期のDAPT継続を考慮すべきである. 投与期間PTA/BMS/DCB/DES SG人工血管自家静脈 動脈硬化性LEAD 症候性(非血行再建例) 入院中 SAPT Class I Level A SAPT Class IIb Level B SAPT Class IIa Level C SAPT Class IIa Level C SAPT Class IIb Level B DAPT 1~3M Class IIa Level C DAPT 6~9M Class IIa Level C 血管内治療例外科的血行再建例 Cil* 12M DAPT 6~24M Class IIb Level C 3ヵ月6~9ヵ月 1~2年 長期 図16 LEAD への血行再建術後の薬物療法とその投与期間 BMS: bare-metal stent (bare-nitinol stentを含む), Cil: cilostazol, DAPT: dual anti-platelet therapy, DCB: drug-coated balloon, DES: drug-eluting stent, PTA: percutaneous transluminal angioplasty,SAPT: single anti-platelet therapy, SG stent graft *cilostazolは大腿膝窩動脈病変に対するPTAもしくはbare-nitinol stent留置後に考慮される.