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p.71 抽出テキスト

PQ 9

4.3.7 リハビリテーション

表44 CLTI のリハビリテーションの推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

CLTI の治療過程において歩行能力の維持・改善にむけたリハビリテーションを考慮する639 -641). IIa B

a. 集学的治療とリハビリテーション

CLTIに対しては,多職種専門家の連携によるリハビリテーションを含めた集学的治療が推奨される56).糖尿病性足病変・虚血性潰瘍による入院患者において早期リハビリテーションが歩行再獲得および自宅退院を予測する因子であることが示されている639). b. CLTIに対する血行再建術後のリハビリテーション

JCLIMBの報告では,自立歩行頻度は外科的バイパス術後に低下する(術前56%,術後1ヵ月53%)ことが示されている362).CLTIに対する外科的バイパス術後,歩行練習・物理療法・日常生活指導を含む包括的な血管リハビリテーション(vascular rehabilitation: VR)により,退院時70%,観察終了時90%が自立歩行可能であったが,術後VRを施行しなかった群の自立歩行獲得率は退院時・観察終了時ともに30%であった.また術後VR実施群では,潰瘍増悪などの有害事象は観察されず,QOL・ADLおよび脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide: BNP)値が良好であったことが示されている640).一般的にベッド上安静は,廃用を助長し,機能回復を遅延させる懸念があるため642),禁忌を除くすべてのCLTI症例において患部のoff loadingと併せて血行再建術後早期から歩行能力やADL維持を目的としたリハビリテーションが考慮されるべきである.ただし,血行再建術適応症例の77%は対側に下肢虚血を有し,22%は対側にCLTIを認めるとの報告もあり362),術後は対側下肢の評価から運動強度を設定する必要性がある.

● CLTIに対するリハビリテーションは,病期に応じて

行う. ● 足部潰瘍を有するCLTI患者に対し,歩行・移乗の練

習を行う場合は,患部の除圧・免荷を行う. ● CLTIに対するリハビリテーションは,予防から大切

断後に至るまで多職種専門家の連携の下に行う.

ステートメントc. 潰瘍治癒過程におけるリハビリテーション

足部潰瘍の治療過程では,off loadingが必要である56, 643).虚血のない糖尿病性足潰瘍に対する免荷装具の有用性について糖尿病足病変に関する国際ワーキンググループ(International working group on the diabetic foot: IWGDF)のガイドラインでは,total contact cast(TCC)が第一選択とされている644).

神経障害を伴う足底潰瘍治療過程では,TCCの着用により,転帰が改善することが示されているが645, 646),TCCの禁忌として,軟部組織の感染,骨髄炎,重篤な血管疾患,重篤な下肢または足部の浮腫が挙げられており647),CLTIを対象にTCCの効果を検証したRCTはない.しかし,AP 80 mmHg以上,足趾血圧74 mmHg以上,ABI・TBIが0.55以上であればTCCを使用できることが報告されている648).このため,CLTIにおいて上記の動脈灌流圧が保たれている場合や血行再建術により血行動態の改善が得られた場合はTCCが使用できる可能性があるが,TCC着用時は下肢の関節が固定され,動作が不安定になる点を考慮し649),対象者の年齢や下肢機能を含め適応を判断する.

TCCの適応がない場合の除圧方法として,アウトソールに加工を施した治療用サンダルの着用が挙げられる.治療用サンダル着用により,歩行時の最大圧は前足部・中足部・踵の全領域で軽減することが報告されている650).わが国ではこの方法が一般的に行われている.

CLTIの治療過程で,小切断(足趾や足部の切断)が行われた後は,歩容の左右非対称性が顕著となるため,対側下肢の負荷量を評価しoff loadingを行う651, 652).

治療用サンダルの使用が困難な場合は,歩行補助具を使用する.歩行時に足底にかかる最大負荷(体重比)は,健常者において松葉杖で50%,ロフストランド杖で56%,歩行器で64%に軽減されることが報告されている653).

CLTIに対する血行再建術後早期にリハビリテーションを開始すべきか? Answer CLTIに対する血行再建術後に,多職種専門家の連携の下で早期リハビリテーションを開始することで,術後ADL改善が期待される.ただし感染創を有する症例においては,関節運動を制限する必要がある.

SPINACH研究のサブ解析にて,術前歩行障害は術後の生命予後を予測する独立した因子であることが示されている206).また,歩行機能は下肢切断・再手術の予測因子となることも示されており544, 654),CLTI重症度分類に,術前歩行機能に関する項目を追加する提案がなされている655).