p.69 抽出テキスト
医と血行再建医の綿密な連携が必要である. 足底組織は体重の負荷に耐えることができる解剖学的および生体力学的構造を持っているため,創面切除の場合には,足底組織を可能な限り温存する.しかし足底腱膜の下に膿貯留を認める場合,足底腱膜と筋膜を除去し足底のコンパートメントを切開して膿を排出する(図14).一般的に骨髄炎の有無は単純X線またはMRIで評価する(図15) 522)が,CLTIの骨髄炎においては,画像診断のみでなく,臨床的・総合的に診断する. 骨髄炎が見つかった場合は病変を完全に切除し抗菌薬を投与する. iii. 血行再建術「4.3.4 血行再建」を参照.感染と虚血の両者を認める場合の治療 感染と虚血の両者がある場合,特に高度感染を認める場合,虚血の血行再建術を優先すると,敗血症または虚血再灌流障害のために患者の全身状態が急速に悪化する可能性があることに留意する621). iv. 創傷治癒を促進するための治療1)局所陰圧閉鎖療法(NPWT) 比較的大きな創傷では,壊死組織が除去され感染が制御された後,局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy: NPWT)など使用して肉芽形成を促進させる611, 612).NPWTは,線維芽細胞などの創傷治癒に関与する細胞に機械的ストレスをかけ,細胞の分裂と増殖を促進させる機序による,慢性創傷における世界的標準治療法である612, 624, 625).臨床的には,創傷の収縮,肉芽形成の促進,滲出液の排出,浮腫軽減などの効果を有する624).最近,陰 圧閉鎖療法に周期的自動洗浄液注入器を付加したnegative pressure wound therapy with instillation and dwell time (NPWTi-d)が使用可能となった626).さらに近年reticulated open-cell foam dressing with through holes;ROCF-CC dressing(V.A.C. Veraflo cleanse choice dressing ®)が使用できるようになった.これは海外のガイドラインでもデブリ―ドマンが可能なNPWTとされ627, 628),従来のNPWTと比較して,WBPの4項目(TIME)すべてに対して明確な治療効果を示すため,壊死組織が遺残しているWBPの時期からNPWTを使用することが可能になった. 2)創傷被覆材 閉鎖環境を提供し湿潤環境を維持することを利用する創傷被覆材も標準治療である629, 630). 創傷被覆材は,比較的小さな創傷やNPWT後の治療に適応があり,上皮化を促進させる,すなわち二次治癒させる目的で使用される.しかし,感染しやすい糖尿病を基礎疾患に持つ場合には,創傷を閉鎖環境にするため,創傷被覆材を使用すると感染を起こすことがあるので,注意が必要である.これを回避するには,創傷内の滲出液の量と創傷の形態に応じて創傷被覆材を選択する616). 3)栄養療法 CLTIにおいて栄養療法によって下肢を救済することが可能となるエビデンスはないが,創傷治癒の観点から,栄養サポートチーム(nutrition support team: NST)と協働で適切な栄養管理を実施したうえで,アルギニン,ビタミンC,亜鉛などを強化した栄養補助食品を付加する栄養療法を行う631). a b c a 第2足趾末節骨部に黒色の乾燥壊死を認めたが,demarcationされるまで待機する方針とした. b 待機中に足底に発赤を認めた. c 足底の中央隔壁の感染と考えられたため,第2足趾をMTP関節で離断し,中足骨 頭を切除し,足底筋膜を切開し屈筋腱に沿って皮膚軟部組織を開放し排膿した.図14 CLTI の感染創に対する対応方法